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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

【書評】エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢

技術評論社傅様よりご恵贈頂きました。

本書では、「日本人エンジニアがアメリカの現地企業に就職して生きていくとはどういうことか」を中心に書かれています。僕の書評では、アメリカのソフトウェア企業はどのようにエンジニアを評価しているのかにフォーカスしてお届けしたいと思います。

ソフトウェアエンジニアのエコシステムがある

本書に挙げられているアメリカで働くメリットとして、下記が挙げられています。

  • 平均給与額が高く、ジョブマーケットの募集数も多い
  • 外国人であるというハンディが少ない
  • 転職回数が不利にならない

特に印象的だったのが、転職回数が不利に働くことはないということです。むしろ、転職回数が少なすぎると「他社に迎合されなかったのではないか」という評価を受けてしまうことがあるぐらいとのこと。ソフトウェアエンジニアは転職するのが当たり前で、企業の規模を問わず流動性がある為、エンジニアをいろんな環境で活用できるエコシステムが出来上がっていると言っても過言ではない印象を受けました。

シリコンバレーのような場所では、シリコンバレーという1つのメジャーリーグの一員になるようなものだそうです。AmazonからMicrosoftに移るというのは、レッドソックスからヤンキースに移るようなものみたい。おはエルズベリー。

専門色の高い知的労働者の世界は、プロ野球選手とよく似ていると思います。重要なのは流動性。この風潮は全体的なコンセンサスになると良いなぁと思いました。能力が高い人が集う世界は、できる人にあわせたほうが絶対に良いので。

エンジニアがエンジニアを評価する

第3章の転職のセクションがとても面白かったです。まずは電話面接(と言ってもSkypeのようなチャットツールでの面接)があって、そこでも腕試しにコードを書くことを求められるそうです。アメリカは広大ですし時差もありますから、オンサイトで呼びつけるのは最後の最後なんですね。

電話面接をクリアしたあとには、ホワイトボードコーディング面接が待っています。これを突破して初めて内定となるそうです。ホワイトボードコーディング面接については、本書の第4章に詳しく書いてありますのでご参照下さい。

最終的にはフェローかマネージャー

それしか無いもんね。技術を極めてピラミッドの頂点を目指すか、マネージャーとなって守備範囲を広げていくか。ただ、本書にあったのが「自分は仕事で全くコードを書かないのは無理だ」と主張して、マネージャーとしてのランクを1つ下げてまで自分でコードを書くことを選んだケースがあるそうです。すごいな〜。

英語はどこまで出来ればいいんですか?

読み書きと文法がわかれば生きていけるし、ネイティブ以上にもバイリンガルにもそう簡単にはなれないから、英語よりも仕事ができるということが一番重要だって書いてありました。R社の公用語の試みはどうなっているんでしょう。言語を統一するメリットはどこにあったのか、どこかのメディアが記事して欲しいです。脱線しました。

自分の足元を見直す一冊

本書ではアメリカに移るということで発する外国人としての生活環境や、日本的では無い就業環境に多く触れています。特にコアタイムが無いのは素晴らしい。時差もあるし、全員が同じ場所を共有できない前提で仕事が進められる仕組みづくりは大いに参考になりました。それだけに、自分が所属している組織が何を持って評価をしているのか、評価の良し悪しはどこでなされているのかを理解できていないと面食らうことになるのでしょう。

本書を読んで隣の芝生の感じながら、自分にとって譲れないものと目指したいものは何なのかを見直すの一冊となると思います。エンジニアの採用フローなんかはすごく面白かったので、ぜひご一読あれ。

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