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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

理系思考

理系思考〜エンジニアだからできること〜を読んだ。

id:anthony-gさんのIT業界と無責任にも絡めて、以下所感。

読後の感想

前半の問題提起は実に素晴らしいのだが、後半の展開が尻切れトンボ感が否めない。理系思考の一端として戦略シナリオを紹介されたが、それとエンジニアならではの思考回路・思考フレームワークに対する相関性が薄いのが主題を薄くしていると思った。

「おまいらもっとアンテナ高くしる!」といった理系思考と関係ない文型思考が前に出始めたのが残念。

どうせこのテーマを掘り下げるなら、SEが普段何気なく行っている思考プロセスを取り上げ、如何にそれが横展開の効くツールなのかを訴える方が良いかと。

SEを取り巻く環境

この本の問題提起は、以下の記述に集約されている。順を追って引用。

技術が発達し、専門分化がより細かくなってきた現在では、エンジニア一人一人の守備範囲は確実に狭まっている。"全てを知るヒトも少ないし、全てを知る必要もない"のが現在のエンジニアを取りまく考え方だ。

赤字の所が全てです。

IT業界でよく言われる批判のひとつが、エンジニアの守備範囲の狭さです。そもそも広範なIT技術ですから、全てを知らなくても余裕で飯が食えます。

専門分野と同様の深さで他の技術を理解する必然性は全く無いのですが、総じてSEというのは専門性を重んじます。ここが弱くなると自分のコンピテンシーが奪われるような感覚があるので、どうしても専門性の確保が優先されます。個人戦略レベルで。

でも、その個人戦略の集合体ではシステム品質は保証できません。全体をつなぐブリッジ役がいないからです。できあがったシステムは神経の切れた肉体のようになります。

当たり前の話ですが、システムは様々な構成要素で成り立っています。プログラム言語、ネットワーク、データベース、インフラ、セキュリティ等です。これらの要素が1つでも欠けると、システム品質は極端に悪くなります。

が、分業の弊害がモロにでてしまい、トラブル発生時にどこが悪いのかわからないなんて話も多く聞く。

専門という弊害

著者はそのような「専門バカ」に対して警笛を鳴らしています。

しかし、この考え方はエンジニア一人ひとりが歩む道を極端に狭くしていく。専門分野に没頭するあまり、隣の分野で何が起こっているのかが見えなくなることもある。

つまり、専門分野ばかりを深彫りし続けていると、いつの間にか深い深い井の中の蛙に成り下がってしまう。また、一時期の流行に飛びついてもそれは一瞬にして笑いの種になってしまうこともある。

概ね賛成です。

ただ、専門分野の深彫りは絶対必要です。技術者、というより知的労働者って専門分野をベースに異なるドメインを理解していくものだと思っているからです。

いくら次はRubyだぜ!って頑張ってRubyを学ぼうとしても、背景に流れる思想・特性・メリット・デメリットを専門分野ですら理解できていなければ無意味です。結局「○○で書けます」という写経レベルの技術者になってしまう。「書ける」と「できる」は天と地ほどの差があります。

逆に専門性があると、「なんだこれ、○○と同じジャン。」って事が見えてくるようになる。流行に対しても体系的・客観的に捉えることができます。ここが第一のチェックポイントだと思っています。こうなると、異なる分野から得たノウハウを元に自分の専門領域へのフィードバックが可能になります。この好循環がとっても大事!

目線の位置が勝負

これはどんな職種でも不変でしょう。例がエンジニアなだけ。

今の時代は常に自分を取り巻く環境を把握し、先を見据えた勉強を続けていかないと、あるとき突然時代遅れのエンジニアになってしまうという悲劇が待ち構えている。

仕事、つまりある物事に仕えるってことは目線の位置が全てだと自戒を込めて思います。ものすごい高い能力を持っていても、目線が常に内を見ていたら宝の持ち腐れになってしまう。

大前研一氏が「森羅万象に興味を持て!」と言っているのは、自分のスコープを広げることが何よりも重要である、ってことに他なりませんが、関心を持てるってことは一種の才能なんじゃないかと最近思い始めた。

さてと、今日(4/30)は仕事なんだよな・・・orz 寝るべ・・・。