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GoTheDistance

クオリティスタートという会社をやっている人のブログです。中小企業のIT活用を全力でサポートするエンジニアです。

SIerという奇形児と、SIという珠玉の仕事

SIer

先日のエントリーがアツいことになっており、初のホッテントリ入りに若干興奮している今日この頃です。同じような問題意識を持っておられる方が多くいらっしゃることがわかり、改めて書いてよかったなぁと思っています。

話の流れは相当グダグダなのですがあのエントリーで表現したかったことは、「アメリカにSIerが存在しないのである」⇒「アメリカは素晴らしいのである」というのが骨子ではなく、いわゆるディフェンシブなシステム開発を強いられているSIerというのは、いわば奇形児のような存在ではないかということです。

改めて、ディフェンシブとは

言わずと知れた名エントリから。

ディフェンシブな開発とは、開発途上のリスクを計画上の時点でなるべく潰し、開発側に発生する利益分を減らさないような開発の進め方をすることを言っている。加えて、この場合、開発側はリスク分はなるべく多めに見積もり金額にいれようとしがちだ。

なぜそうなるのか。今のSIビジネスでは、決められた金額の中でどれだけ安く作り上げることで利益を出す構造だからである。

なんでシステムを作るって事が、決められた金額の中で買い叩くスキームの中でやらなきゃならないんだ?

やっぱりこれが一番大きな問題だと思うんです。結局こういう圧力が背景にあるから、開発スタイルも工数も契約形態もディフェンシブな方向に向いてしまうっていうのが私の考え。

アメリカでは決して買い叩いていませんなんて言うつもりは全く無いし、ぶっちゃけそんな根拠どこにも無いでしょう。それが問題ではない。経営上大してインパクトの与えないシステムについては、コスト重視で安い所に発注するなんてことも当然あるでしょう。でも、基本的に経営に資するシステムは開発〜運用まで内製で作るという姿勢が本流であり、それってはてなだろうがEnterpriseだろうが変わらないはずだと思う。

オフェンシブになるためには

はてなや37Signalsがオフェンシブに映るのは動的言語を採用しているからではないと思う。一因にはあるだろうけど、Javaでもオフェンシブな開発は可能。根本的な理由は経営に直結するシステムを自分で作っているからでしょう。それを一般的にサービス公開している為に、まぁ社内の予算や締め切り等はあるでしょうが、「何のためにこのシステムを作っているのかわからない」というディフェンシブなシステム開発の最大の弊害は出てこないはず。

だから、楽しいんだと思う。

SI業界でシステム組んでいて一番つらいのが、下請けに入ってしまうと何のためにこのシステムを作っているのかがわからない、クライアントの顔が見えないポジションに入ってしまうこと。これでは、いくら優秀なエンジニアを抱えてもモチベーションを保つことは絶対できない。

私はRubyやXP等のアジャイルな開発スタイルをSIerが飲み込むのは、ビジネスモデルを変えない限り無理だと思う。RoRだろうが何だろうが、受託開発なら予算や工期を超えたら即トラブってしまうんだから。id:kuranuki氏もこのように言っている。

そこで、システムを必要としている企業であれば、もはや、SIerなどに頼むのではなく自社で優秀なプログラマーを雇用して、そこで開発をした方が良いのではないだろうか。その方が、コストも安くてすむし、何より、柔軟なシステム開発が可能となる。 (中略)

つまり、現場での改善活動も重要だけれども、ドラスティックに今の問題だらけのSI業界を変えてしまうには、SIerのビジネスモデルを変えるしかない。

狂おしく同意であります。

SIって最高の仕事ですよ

私はSIerというのは歪んだビジネスモデルの間で生まれた奇形児だと思っていますが、System Integrationという仕事は珠玉の仕事の1つだと思っています。

だってね、お客様がですよ、例えばお店だったりメーカーだったり物流だったり証券会社とか生保だったり、普通に人生を送ってるとね、そんなにたくさんの会社というか業種・業務って体験できないと思うんだけど、SIってのは本当に色んな仕事に関わることができるわけです。

業務にしてもね、経理・総務・営業・製造・生産管理・購買・店舗・倉庫・・・あれやこれやってのにどっぷりと関われる。メーカーの営業っていっても、部品メーカーとテレビとガラスとでは全然違う。経理もそう。

そういう世の中の本当に色んな仕事にね、関われるわけです。これはすごいよね、と。で、悩み事や面倒ごとを解決するお手伝いができる。そりゃもうやりがいありまくりですよ。

ホントそうですよ。素晴らしいエントリ。

問題はこれを受託開発というスキームによって、経営に資する仕組みを無自覚に外に出してしまい、動かないコンピューターを量産し、自社のIT戦略立案機能を弱体化させていることでしょう。

どんなビジネスも、顧客に提供する価値がまずあって、それを業務として支える仕組みを作って、その仕組みを回すこと(フロー)で、利益がたまっていく(ストック)。お金に直接的に絡まない間接的な業務、人事とかが典型的だけど、でもそれだって金銭を生まないだけでこの仕組みが崩れたら会社が回らなくなる。

本質的には、最も業界横断的が出来て様々なスキルが総合的に求められる珠玉の仕事のはずなんです。

SIerの生きる道は2つに1つ

受託開発型のSIという仕事は相当コモディティ化していると思います。となると、最終的にモノを言うのは頭数です。端的に言うと、デカイ案件をまわせる体力があるかどうか、人を確保できるかどうか。そこをハイエナのように派遣屋がピンハネして儲けている負の業界構造があったりするのは、中におられる方ならご存知のことでしょう。*1

今後はユーザー企業がどんどん内製で出来るようなシステム作りを支援する方向に向かわねばならないのは明白。SaaSなんてその典型例に見える。大きな方向性とは、地道にユーザー企業がSIerに丸投げさせない仕組みを作るか、SIerが今の奇形児から形を変えて新生児として生まれ変わるか。道は2つに1つでしょう。

何にせよ、ずっと昔から言われていることではありますが、部品化の促進がKeyになると思います。今はSOAという概念でサービスという単位で業務に資する部品を作りましょうというのが最もHOTな考え方であり、様々な製品ベンダーがその方向に向かって舵を切っているので、そういった先進事例も今後数年で増えていくでしょう。

また、様々な部品化の促進により、本来注力すべき機能の実装に注力することが出来るようになりますので、作ることが決して悪ではなくなる、そういうオフェンシブさも持つことが出来るのではと期待しています。

私は、System IntegrationはいつしかService Integrationになると思っています。そのサービスという単位はどうなるかわかりません。3年〜5年後にはSOAを発展させた新たなコンセプトが生まれ、SaaSというデリバリモデルもシステム全体のアーキテクチャを担保するプラットフォームとして使えるようなレベルに、進化していくことになると思っています。OSSのSaaSアプリ、みたいなのもいつかは出てくるでしょう。今は、ちょうど産声を上げたぐらいなので、ヨチヨチ歩きが出来るまで3年はかかると思います。

・・・って感じの企画書作ろうと思ってます(笑)

最後に、私が大好きで何度も引用しているこの記述を。

結局のところ要件定義や仕様書に基づいてシステムをつくるという仕事は,ITが生む付加価値そのものを受け取るようにビジネスモデルができていないのだ.技術や製品・専門知識に希少性があった時代はそれでも儲かったが,ハードやソフト,それらに対する知識がコモディティ化した瞬間,サービスやソリューションそのものがコモディティ化することは避けられなかったのだろう.

System Integrationがその輝きを失わないような形に、SIerを変えたい。それが今のちょっとした夢です。

*1:これはこれで意味があるんだが