GoTheDistance

ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

Service Integratorになれる日が来るのだろうか

ZEROBASEさんのBlogに書かれていることが、自分の問題意識とシンクロした。この辺で少し整理しておきたい。

要件定義前提のビジネスモデル

Webサービスに「システム開発」の側面があるからといって、業務システムのように「ユーザに聞く」とか「要件定義」とか「要求開発」しようとする発想では、うまくいかない。そこで「プロダクトアウト」か「マーケットイン」か、といった二分論での議論も危険。どっちの面も必要に決まってる。

そういう仕事って何?「マーケティング」や「商品企画」ですよね? で、それってSIerには未知の領域なんだと思います。

SIerがディフェンシブにならざるを得ないのは「要件定義」というプロセスそのものにあるのではないか、と最近思いはじめました。要件定義が基点となって「我々は今回こういうものを作るのです」という取り決めを行いその器の大きさで金額が決まる。一度決められた器を変えることは許されない。もちろん一般的には「あなたのやりたいことはXXXなので、お見積もりをしたらこれだけかかりますのでよろしくお願いします」というのは正しいのだが、SIビジネスはそれによる弊害ばかりが目立ってしまう。人月しかり、仕様変更しかり・・・。

そう、実は要件定義なんて必要ないんだよ。少なくとも必須じゃないんだよ。本質的じゃないんだよ。

要件定義のもう1つ上の戦略策定の工程があって、もうそこで膝突き合わせて「だったらとりあえずこういうもの作らない?」っていうアジャイルなやり方がITが生む付加価値そのものを受け取ることができると考えており、だから私はずっと内製回帰したらいいのにって思っています。

オーダーメイド屋からオーダーがなくなる

これが根源的な問いだと思います。文化が違いすぎます。ビジネスモデルも違いすぎです。

要するにソフトウェア開発といっても、MicrosoftがOfficeを開発するのと、NTTデータがユーザ企業の基幹システムを受託開発するのとでは、大違いという意味です。何が違うかというと、「マーケティング」の必要性です。

SIerのマーケティングってソリューション提供(CRM.SCM.ECM.BPM,ERP等のような3文字用語)をやっていくために「どこかのパッケージを担ぐか」「どこかと協業するか」「自分でブツを作るか」という3択が基本です。買収は手段でしかない。安定した収益を上げている所にはパッケージがあるものだってことをみんな知っているのです。工程分断型受託開発では次が続かないぞ、と。プロダクトが無いから受託開発をせざるを得ないというジレンマを、多くのSIerは抱えています。プロダクトで商売がしたい、知恵で商売がしたいと多くのSIerの経営陣は思っていることでしょう。でも、自社を見渡してもそんな仕組みにはなっていません。男が女に生まれ変わるぐらいの大転換が必要になるはずです。

今はまだWebサービスの事業が直接的に金銭を取り扱わないからまだ良いのです。これがERP分野がサービス化されたら大変なことになると思います。実はこれがこの業界に起こり得る「破壊的イノベーション」の第一歩だと感じています。プロプラエタリなソフトウェアの多くはERPに関連しているからです。

システムが当たり前になる日

SalesforceのCEOのマーク・ベニオフがPaaSという概念を掲げています。このコンセプトそのものは相当恐ろしいものです。何が恐ろしいかって「システム開発プロセス」を仮想化しようとしているのだから。今現在仮想化に成功しているのはVMWareに代表されるOSのレイヤーです。次はどこに行くかと言えば、もっと上のアプリケーションのレイヤーでしょう。まだまだこの領域は未成熟で、各々のバラバラな技術によって構成されたシステムがWebインターフェイスなんて立派なものを持ち得ないので、EAIツールをかましたりファイルでバッチ連携しているのが実情だと思います。そういう所まで仮想化しようとしているのがこの人です。Nick.G.Carrが大好きなユーティリティ・コンピューティングの世界が、Web技術の進化や仮想化によって確かに近づいてきています。

やっぱりこの2つしかない

じゃあ、SIerはどうしたらいいんでしょう?

方法は2つあると思います。オーダーメイドがなくなるわけが無いので、自社の開発プロセスの品質・生産性を極限まで高めてオペレーションで勝負する。もう1つはWebサービスでも何でもいいのでプロダクトを世に出していくSaaSモデルで勝負することです。

システム開発がプロダクト化されてしまったら、今のビジネスモデルは意味がなくなってしまいます。だからサービスを統合するような事業体になればいいと思っています。プロダクトは国境を越えますがサービスは国境を越えることは難しいです。その国の社会事情や商習慣がありますので、必然的にドメスティックになります。この領域ならまだまだ戦える余地はあると思いますが、その時必要なのはまさにマーケティングですよね。

まぁ雇用体系のアレとか色んな阻害要因はあるけれど、10年後にはガラっと業界の様相が違ってますよ。