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GoTheDistance

ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

28才のリアル〜スーツとギークのあいだを彷徨う〜

ここ1年ばかりスーツとして仕事をして感じたことを一気に書きなぐる。

端的な表現を使うとスーツは「システム開発において直接開発作業に携わらないマネージャ、営業、コンサルの総称」です。ギークというのは「プログラムを書いてソフトウェアを組んでいる人、もしくは何かしら世にプロダクトを出している or 出していた人の総称」ということにします。

日本のITビジネスは脆弱なビジネスモデルです。最も品質を問われるべきソフトウェアにおいて派遣による偽装請負なんかがまかり通っているのは、日本だけです。70〜80年代にプログラマの絶対数が足りなくてとにかく人をかき集めて現場に派遣するようなスキームが横行したのと、時間がかかればかかるほどコストがかかり結局その分売上が立つという人月商売モデルの2つの悪因が両輪となって、今のような奇形児になりました。 簡単に言うと、腐れエンジニアをかき集めて仕事を進めるスキームになり、腐れエンジニアもできるエンジニアも同じ「1人月」だということですね。この辺りのお話はid:codemaniaxさんの至玉の論文に詳しい。

僕は新卒デビューなのでだいたい3年ぐらいJavaプログラマとして開発をやってきましたが、下記2点において絶望して昨年スーツになりました。

  • 最先端の技術を追い続ける閉塞感に危機感を覚えた。ラットレースに乗っている気がした。
  • 技術を磨いても面白い仕事が待っているわけではなく、端的に言えば火消しが多く磨耗されるだけだった。

最新技術は確かに面白いし、自分がSIerの中でプレゼンスを発揮するに当たっては有効な武器ではあったんだけど、もう既に自分の下から空恐ろしい後輩が続々と出てきている。技術というのは恐ろしいもので、「うわー、すごいじゃん。こんなこと出来るようになったんだ」から「もうそれぐらい誰でも使ってるよね」に変換されてしまう。普遍的で根源的なITスキルというのはここに書かれているけど、実装言語なんて1つもないじゃん。考え方であったり仕組みの話じゃない。

こういうのを踏まえると、下記記述がものすごい僕には響くものがある。

植字工というのは割のいい仕事で、活字を拾う速度が速くなればなるほどリニアに給料が増える。どんな印刷物にも納期があるから、生産性の高い植字工は引っ張りだこだ。その仕事が電子化で一気になくなって、まずは写植になった。膨大な棚から次々と活字を拾ったり、型の存在しない外字のために活字を割って組み合わせるのと、写植機を使いこなすのとは別の能力である。写植機そのものも急激にモデルチェンジしていた。追い打ちのように電子入校の普及で素早く文字を拾うという価値そのものがコモディティ化してしまった。僕には会社を恐れない「有能なエンジニアたち」が、往年の植字工と重なってみえるのである。

あえて書くんだけど、技術に逃げているような人も見受けられる。半端に技術的なことを言って煙に巻くような人もいたりする。生産的な議論がしたいのに出来ない。まぁ僕のステージが低いのは割愛w でも、指示待ちギークはちょっと腹が立つ。お前ギーク気取ってるだけちゃうんか、と。エンジニアとして生きていくのであれば、実践を通じて技術を構造に変えていくような思考回路を身につけていかないと、エジケンの言うチェンジ・エージェントの濁流に飲み込まれると思った。そのレースには、僕は乗る気はなかった。だから、コンサルになった。

このブログで多くの人と出会えたんだけど、僕は基本的にはスーツがいい。Jobsのようにはいかなくても、デザイン思考で人間の行動原理を変えるような仕事を作り出したい。まだまだこの世には考えるべきことが山積しているはず。しかし、それには大企業は窮屈すぎるのも事実。僕ぐらいの年齢だとまだまだお前は若造だろっていう話だし、ある特定人物の圧倒的なパフォーマンスなんて基本的に不要な世界なので、そろそろ時期が来たかなと思い始めている。

スーツとして働いていて思うのは、ギーク語とスーツ語の間にはものすごく乖離があること。世界に冠たるITベンダーや外資コンサルの方々ともそれなりに仕事させてもらったけど、これを直訳するのは無理だと思った。コンセプトは大事だし、世の中こうなってるからこういう方向に向かうべきですよというのは大変重要なのですが、あまりに距離が離れすぎている。ユーザー企業自身が何のためにIT投資をしているのか本当にわかっているのだろうかと思う。ITは重要だというのはあまりに当たり前すぎるし、実装技術に変化がおきれば最適解は変わっていく。

最後にid:lovecallのステキなお言葉をご紹介。

「結局のところ、ドラえもんでいう『翻訳こんにゃく』的な存在になりたいんですよ。ギークたちが語る言葉は、多くの人からするとやはりプロトコルが違うかのように思われている。そこを初心者向けにやさしくコンパイルしてあげるのがわたしの出番かなと。」

べにぢょ――ギークプロトコルの解読を試みるサイバーヤンキー

うん、僕もそうありたい。僕が語る言葉はスーツにもギークにも響く言葉でありたいです。

そして、これを読んでくれているあなたに対しても。