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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

はてなのエンジニア退職劇に思うこと

id:naoyaさんがはてなを退職し、新しい道を探すことになりました。改めて、はてなユーザーとして感謝申し上げます。はてブというサービスがなければ、その中でアテンションを集めるホッテントリという仕組みがなかったら、今の僕はありません。本当にありがとうございます&おつかれさまでした。

id:secondlifeさんが退職のエントリでこのような一文を書かれており、恐らくnaoyaさんも同じような心境だったんだと思います。

エンジニアとしてやっていくとして、はてなに残り 1エンジニアに戻る道ももちろんありました。ただ、自分にとってはてなはあまりにも居心地の良い場所になりすぎてしまっていました。それに自分も慣れすぎて、どうしても他人に甘え仕事に妥協が生まれたり、『会社にとって評価されやすい仕事』を気をつけていてもやってしまう自分がいました。また、長年会社にいるとその会社に役立つスキルを使って仕事をしがちで、より技術面で前へ進むには新しい場所で新しい空気を吸って行こうと思い、退職を決意しました。

ベンチャーで事業を立ち上げてきた方に共通するのは、積み上がったものに長く興味を持つことはできないということだと思います。誰も上っていない山を登って登って、ふと下を見たら「おお、ずいぶん高い所に上がってきたじゃないの」って感じで自分の成長を感じられるのが、最も楽しいからです。グーンと成長する経験をしちゃった人は、もうそれ以下の成長じゃどこか心が満たされない。アウトプットを出し切ると、今度はそれを積み減らしたくなる。社長になれば会社の成長そのものが嬉しいでしょうが、エンジニアはそうもいかないでしょう。

普通はできることが増えて安定してくると変化を求めるより安住したいと考えるものなのですが、松明片手に洞窟の中をくぐり抜けてきた猛者にとっては物足りないのでしょう。自分の可能性を知りたい、と。ベンチャーで成長したヒトはリスク負わない仕事がつまんなくなってしまうものです。

会社が成長してくるとよくも悪くもルーティン作業の割合が増えてくるようになります。仕入れから入金までのフローが確立されてきているということなので会社的には望ましいことですが、仕事内容としては物足りなくなっていきます。業務システムでもWebシステムでも、その辺は一緒です。イベントで一番楽しいのは準備期間と言いますが、それと似たようなものかもしれません。

作り手の次の仕事はなにか。結局、また新しい何かを作るしか無い。やるなら、今しかない。そういったフロンティアスピリッツのような何かを抑えきれなくなった、というのも一因としてあると思います。

しかし、この退職劇で一番大変なのはid:jkondoだと思います。辞められたお二方は優秀なエンジニアですから、ぶっちゃけどうとでも食っていけるでしょう。しかし、社長はどこにもいけませんし、人材だけは思うようにはならない。ヒトモノカネ、どれも大切だけどやっぱ最後はヒト。ヒトがどう動くかによって他のリソースはいくらでもかわる。が、ヒトほど思い通りにならないものもない。ずっといてほしいと言っても、できる人材程違うステージを求めて辞めていってしまう。日本のプロ野球選手がメジャーに挑戦するのと同じように、新しいフロンティアを求めていく。その場を提供し続けるのは、至難の業です。自分の成長と組織の成長のベクトルが合わなくなる。

はてなは大丈夫か不安になっている方もいらっしゃるでしょうが、コアメンバーが「もう自分がいなくても回っていける仕組みがそこにある」という裏付けあっての退職でしょうから、会社的には全然大丈夫なんじゃないですかね。当然、昨日今日の話じゃないでしょうし。Web技術者のVantage Point的な意味合いは小さくなるかもしれませんが、無くなることは無いでしょう。

今後のご活躍をお祈りすると共に、jkondoの決断にも敬意を表したく思う次第であります。