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GoTheDistance

ユーザ系SIerから全く別業種の会社で「ひとり情シス」として内製してる変わったエンジニアのブログです

大企業で働くと毀損されるいくつかのコトについて

というわけで今日のお話は、「やった!頑張った甲斐があって、就活もうまく乗り切れた!」とか、「まあ、オレのスペックならちゃんと大企業&大組織に入れるのも当然だけどね。」とか言ってる人は、実は「完全に周回遅れです」みたいな場所で人生最初の「働く訓練」を受けることがどれだけ自分の将来価値を毀損する可能性があるか、よーく考えてみたほうがいいんじゃないか、ってことなのでした。

将来有望な若者の将来価値を毀損する、大きなワナ - Chikirinの日記

この記述に思うところがありますので、ちょっと書きたいと思います。

僕は6年間新卒で入社した大企業で働いておりました。今は従業員数人の中小企業で働いています。ちきりんさんが指摘する「完全に周回遅れです」の意味を身をもって経験しています。

周回遅れの意味は、その企業から一歩出たら全く役に立たないシゴトのやり方やアウトプットに飼い慣らされていることで、外に出てみると思いの外風が強くて、自分で立ち上がることが出来なくなっているおっさんになっているかもよ、というコトです。なんでそんなことになるのか、という話をしたいと思います。

大企業というところを簡単に言うと、空母のようなものです。空母には大将とか中佐とか、そーゆー偉い人がいて下々に命令に近似した指示を出します。兵隊はその指示に従って各々の責務をこなして行きます。ここで重要なのは、空母の外の世界など誰も知らないこと、兵隊は上の命令に従わなくてはいけないこと、空母の中で独自の組織文化が形成されていくこと、などです。異なる立場の人間が連携を取り合って仕事をしていくためには、「ルール」の策定が必要になります。そうしなければ、大きな会社は売り上げが上がるまでのプロセスが長いので、潤滑に回すことが出来ません。

大企業はルールで動くということを踏まえますと、兵隊の皆さんはルールに従ってそれに逸脱しないように仕事をすることを求められます。周回遅れになる問題の根幹は、そのルールにあります。企業内の与えられた仕事しかさせてもらえない可能性がそこにある、ということです。例を2つあげましょう。

ある大会社の調達部門のお仕事は、メーカーや卸が苦労して使いにくいシステムの為に登録した商品データ一覧から、発注数を入力してブン投げるだけの簡単なお仕事です。自分から商品を提案することはありません。ひたすらに会社のルールが与えてくれた作業に沿って仕事をします。会社としてはそれでいいんですね、バカでも出来るから。お金の管理は経理が、商品の検品等は別のバイトの人がやりますので、めんどくさいけど重要なチェックポイントは一切触れることはありません。つまり自分の仕事でトラブルになりそうな部分を知りません。ミスがあってもメーカーにお願いすれば尻ぬぐいをしてくれます。代わりの業者はいくらでもいますよ臭でも出せば一発です。

とある大会社の営業部門のお仕事は、社内申請を回すだけの簡単なお仕事です。お仕事のほとんどは系列会社からRTされますので、新規にお客さんを開拓することはありません。よくわからない社内申請用のワークフローを回して、Excelの数字をぺちぺち叩いて何度も使い回した契約書類一式を用意するという、事務作業中心のお仕事で一日が過ぎていきます。会社を回すにはとても必要なコトなんですが、「代わりはいくらでもいる」仕事に従事していることには違いありませんね。

このように、大企業という所は人が立ち替わり入れ替わりしてもいいように、もっと言えば誰が辞めてもいいように作られたレールの上にお仕事の流れが存在しますので、そのレールに5年も疑問を覚えず乗りっぱなしでいると世間知らずのおバカさんになってしまい、高確率で自分の頭で仕事を作り出せない市場価値ゼロの人間になるかもしれないよって、指摘する必要もないのにわざわざちきりんさんは指摘していらっしゃるのです。上から目線とDISってる程度の方にはわからない、ありがたい人生の先輩ですね。

もちろん大企業でしかできない仕事というのも存在しますし、市場価値の高い仕事は大企業に多く転がっているの事実です。ただ、大企業にあぐらを掻いてはダメだってこと。この10年で、どんだけの日本の大企業がくたばりましたか?

最後に「Firm Specific Skill」と「Portable Skill」の違いについて。前者は直訳すれば「企業特殊技能」といいまして、社員がその企業ならではの技能を磨き、所属企業とのコミットメントを高めながら共に進んでいくというものです。でも、ホントに若い人が気をつけるべきなのは、自分が所属している企業外に「持ち運び可能な技能」ではないでしょうか?スキルにも色んな種類のモノがあるという事実は、承知頂きたく。

ではではー。