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【書評】100万人から教わったウェブサービスの極意 「モバツイ」開発1268日の知恵と視点

著者であるえふしんさん(fshin2000)より献本御礼。

100万人から教わったウェブサービスの極意 ?「モバツイ」開発1268日の知恵と視点

100万人から教わったウェブサービスの極意 ?「モバツイ」開発1268日の知恵と視点

結論から先に言うと、本書はノウハウ本ではないです。こうすれば100万人が使うWebサービスを作れるようになるよ、という類の本では無い。本書はモバツイというサービスを通して大きく2つのポイントを論じています。えふしんさんが地に足をつけた観点から見た「次のWebの居場所はどこなのか」と、「開発者がWebサービスを成立・継続させていく為のヒント」です。この2つが交差点のように交わりながら話を展開していくのが面白い。

次のWebの居場所を探し当てることは大変困難ではありますが、キーワードは誰が言ってもこんな感じでしょう。ソーシャル、グローバル、ローカル、モバイル。この辺の単語です。ソーシャルでグローバル性がありながらも、各々のローカルに息づくコミュニケーションを喚起させるようなWebサービス。そして、それらをモバイルでありスマートフォンがつないでいく。本書はエンジニア視点が特徴的で、Twitterについてもその仕組みについて中心に語られています。そしてその仕組みと今のWebの相性の良さを絡めながら、実際にサービスを運営しておられる実績から「地に足着いた」言葉で語ってくれているので、どの分析もうなずく所が多かったです。

後者のWebサービスを継続させる為のヒントについてですが、一番重要なのはそのサービスに対する情熱の有無、もっと言えば好きかどうかだと感じました。本書では「Twitterとの出会いは10年に1度のものだった」と語られており、もうその時点で熱が違う。サービス開発者の個人的な好みが最終的なモチベーションにつながることを示唆してくれています。もちろん、好きだからやっていけるものでもないかもしれない。でも、好きでなければ何も始まらない。本書からはそういった著者の「志」というものをひしひしと感じましたし、Webに対する根源的な愛情というか、そういうものも見え隠れてして共感する所が多々ありました。

ただ、あきひとさんも言及されていますが、各々の内容が地に足がついているからこその紙面の物足りなさを僕も感じました。もっと切り口の断面が太いほうが僕は好き。

僕は典型的なPCユーザーで、モバツイを使うまでは携帯でWebサービスを使うことは殆どありませんでした。乗り換え案内とプロ野球速報ぐらいでした。必要最低限の情報を知るだけなら携帯で良いけどそれ以上は親指1本であーだこーだやるのはめんどい、と。Twitterを携帯で使うなんてめんどいと思ってました。ツイートするのがだるそうという点と、当時は1000人近い人をフォローしてたので新着20件しか見れない携帯じゃタイムラインが追えねーと思ってました。

が、使ってみたら実に携帯と相性が良くてびっくりしました。待ち合わせに使ったり、色んな仲間と同時にPOSTしてタイムラインでお互いをシェアしたり、突然「おれもおれも」とサプライズゲストがやってきたり。各々が違う場所から同じものを見ているから、臨場感がすごくあった。Webサービスから臨場感を感じたことはモバツイが初めてでして、この体験は目から鱗でした。これはおもしろいわー、と。モバツイには新しい体験をさせてもらいました。

イマドキのWebサービスの構成要素をふんだんに含んだモバツイを通して語られるWebの世界観を、お楽しみあれ。

100万人から教わったウェブサービスの極意 ?「モバツイ」開発1268日の知恵と視点

100万人から教わったウェブサービスの極意 ?「モバツイ」開発1268日の知恵と視点