読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

GoTheDistance

クオリティスタートという会社をやっている人のブログです。中小企業の顧問エンジニアをやっています。

【書評】会社のITはエンジニアに任せるな!

システム開発

著者の白川克さんよりご恵投頂きました。

こちらの白川さんは、エンジニア上がりのキャリアを武器にIT寄りのコンサルタントとしてご活躍されていらっしゃいます。僕も長年「ITを使いこなせない(武器に出来ない)会社が多いのは、何がアカンのか」という話をブログに書いていますが、白川さんもずっとこの問題に向き合っており、ITを武器にする為のメッセージが「会社のITはエンジニアに任せるな」という本のタイトルに凝縮されております。

ツール型ITとプラント型IT

本書では「そもそもITって何なの」という話を、ツールとプラントという概念で分けて考えています。ツール型は、メールやカレンダーのように用途が限定的で完結型のITです。プラント型は「業務と密接に関係しており、ITがその会社での人の動き方を決めるようなIT」のことで、前者と後者は全くの別物。プラントを動かすためには確固たる哲学が必要だから、丸投げするには大事すぎると続いています。

プラントって、↓ なやつ。

f:id:gothedistance:20151220232903j:plain

ITを武器にする=プラント型ITを築き上げる

何故プラント型ITなるものが必要なのって話です。ここが重要である理由が伝わらないと、本書を読み進める意義も薄れるので強めに補足します。

最大の理由は、ITで結合された業務を回すためのインフラがあるのと無いのでは事業運営のレベルが全く違い、企業の競争力に大きな差がでるからです。

ITシステムは無くても、Excel/Access無しで業務を回してる会社は皆無でしょう。業務が暗黙知Excelで回っている状態は、舗装されていない荒れた道を、最小限の機器を積んだ車でドライバーが勘と経験で運転して目的地まで向かってるようなもの。が、経営の立場から見れば、業務を回す工程が人に依存するのはデメリットしか無い。生産性が人に依存しているので改善もクソも無く、現状維持が精一杯になります。この状態で業務改革を実行するのは単に2倍働け(給料は据え置きで)という話ですので、まぁふざけろ、と。

プラントの設計図を書くためには、「業務担当者が判断していること」から「業務上の重要な判断基準」を抜き出して、それを経営の視点から煮詰めます。煮詰めた判断を時系列でつなげていくと、ベストなプラントの完成イメージ図が出来ます。こいつが「ビジョン」です。ビジョンだけでは糞の役にも立たないので、そのビジョンを作業手順まで落とし込んでITに載せてやる必要があり、その作業はプラントの構築のように複雑です。簡単に手間いらずな事業運営など、あり得ません。

そうやって育てられたITがあれば、誰がやっても正しく事業運営が出来ますし、経営判断を業務の中に埋め込むことが出来ます。ヒトに依存しないので、ITシステムを改良することで、更に生産性が上がります。逐次的でありながら、やるほどに加速度が上がります。弊社がそうですので。ヒトが頑張れば早く進むことは出来ます。歩け→走れは簡単なこと。でも、遠くへ進むことは出来ません。取っつきにくいプラント型ITですが、一度プラントが構築できてまわり始めると、会社はガラッと変わります。

これが「ITを武器にする」意味で、その果実を得るためにどうしたら良いのかは、本書に様々な角度から語られています。

プラント型のITを作るためには、経営・業務・ITの3つの視点が必要です。最も足りないのがITエンジニアですよね... 描かれたイメージを素因数分解してレシピに落とす作業がどうしても必要で、その道のプロにしか出来ない。レシピも画一的なものはなく、自社にとって意味があるレシピを作るのは手間がかかるけど、やる意味はすごくあります。

メールベースの相談ならいくらでも乗るんで、僕で良ければお気軽にお問い合わせ下さい。

色んな会社さんにITを武器にしてもらいたいので、事業運営のあり方を変えたい方に本書を読んで頂ければと思います。