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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある?

元ネタはこちらのTweet

公式資料かどうかを確認すべく、クラウドワークスさんの決算説明資料のWebページをチェック、当該Tweetで掲載されている画像の資料は、
2016年9月期 第1四半期決算説明資料(PDF)に掲載されているもので、公式の見解ということになります。

働き方はやっぱり正社員がNo.1

正社員という雇用形態が崩壊に向かい非正規雇用者が増えている中で、正社員でないと社会的信用や経済基盤等が損なわれてしまう。雇用にも限界があるわけだから、「個人」に対して仕事を供給して実績と信用を構築・適用できるプラットフォームがあれば、新しい雇用形態が生まれて個人も企業もWin-Winになる。ザックリとしていますが、クラウドワークスさんが目指している姿はそういう社会像だと認識しています。

で、その未来像を目指し着実にユーザーとクライアント企業を増やした帰結を端的に示しているのが、このページです。

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数年の運営を経て得られた帰結は、「登録ユーザー80万人に対し、月収20万に到達する方は110人程度」でした。110名の90%はITエンジニア/Web制作 or デザイナーで占められており、クラウドソーシング関係なくある程度の収入は確保できる方々です。発注者が個人にマウントを取り、お小遣い稼ぎでも良いと割りきっている方を都合よく使っているイメージが拭えません。お小遣い稼ぎならば、クラウドワークスで仕事を請けるよりもメルカリのほうが効率が良くリスクもないので、そちらのほうが...と思ってしまう。

働き方として確立するためには安定性が最も重要な要素ですが、クラウドワークスさんのIR資料から際立って見えてくるのは、「企業組織と個人の関係は、やっぱり正社員がNo.1」という皮肉な示唆のように見受けられます。

今後の成長にも疑問符

さっきリンクを張ったPDFに書かれているPLの報告です。

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1Qで10億の売上に対し、営業利益は△1.17億で赤字。通年は単純に4倍の40億の売上に対し営業費用の増加を見込み、営業赤字は△8.5億に膨らむ見通しです。

収入源は成果報酬型(契約額の何%かを貰う)モデルなので、これを拡大するために「ユーザーを増やす」か「単価を上げる」の2つの策が取れます。でも、月収20万超えが110人ですから契約単価の向上を見込むのは難しそうです。これを数万人に出来るんでしょうか。「個人」では限界があるように感じます。月収の高い人が増えてくればクラウドワークスで自分が取ったクラウドワークスの仕事を回すというロックな事案が増えそう。あれ? 元請けが下請けにマージン抜いて丸投げするアレじゃないですか? まじかよ〜。

ユーザー数を伸ばしましょうといっても、ユーザーが増えればサポートに関する諸業務が増えてしまう為に営業費用が嵩みます。オートメーションは無理がある。単純な物品の売買じゃないから。現在80万人のユーザーがいるそうですが、仮に200万ユーザーになったとしても成約額が小さいなら赤字体質の脱却は難しい。個人で請けられる仕事は、たかが知れていますから。売上40億で8.5億の赤字って結構辛い数字です。

ただ、「クラウドソーシングで武者修行をすることで、形を変えたOJTとして機能させることにより、人材紹介・教育研修の受け皿としてトータルなキャリアサポートを実現する」企業となり、そこで輩出した人材の能力が高く評価されるようなサイクルが出来上がってくるのであれば、働き方革命の幕開けかもしれません。新卒一括採用というスキームを形骸化させ、誰にでもセカンドチャンスを与える、と。

本資料からは「滅茶苦茶ユーザーを増やせばいつかはペイするンゴ」以上の戦略を読み取ることが出来ませんでした。まだ始まったばかりですから、5年後には僕が赤っ恥をかいているかもしれません。今後の成長を注視したいです。

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