Planned Happenstance Theory
キャリア戦略の第一人者、高橋俊介氏の著書に必ずといって良いほど出てくるのがこの話。
キャリアは基本的に予期しない偶然の出来事によってその8割が形成される。
-自分戦略を考えるヒント(4)
もちろん偶然の度合いというか、100万分の1なのか100分の1なのかの違いはあると思うけれど、今やっている仕事は必然ではなく偶然のはずです。オレは選んでこの会社に入ったという方でも、「オレの今の仕事は間違いなく必然の結果だな」なんて言える人はいないと思う。
だから、よいキャリアを築こうと思うならば空手ではダメだ。偶然に流されてしまう。流されないためにも、自分なりにどうやって偶然を力に変えていくのかを考えなくてはダメだ。まず方向性ありき。人生には死ぬほど多くの方向が狂うようなことが起こるだろうし、起こったことは否定しても消えないのだから、個人レベルですべき事は「結果としてどうなっていたいのか」をイメージして逆算して自分のキャリアを考えることだと思う。そうしないと、偶然を生かせずに偶然に流され、キャリアが低きに流れてしまう。
ジョブスのスピーチは文句なく素晴らしいんだけど、未来が分からないといって海図もなしに航海に出るのはどうかと思う。それとこれとは別じゃないか、という話。
分相応
id:ochame-cool氏のコメントが秀逸。
仕事柄、企業の経営層と話すことに恵まれてますが、何十年と培ってきた賢さに驚嘆します。そういう機会に恵まれていれば、「今は目の前のことに集中する」と思えるでしょう。
私も自社の役員・理事クラスを相手にクソ生意気に「いや〜、それじゃ微妙ですよ」とか言いながら仕事をさせて頂いてます。各方面で著名な方々と仕事とまでいかなくても、お目にかかれることがありお話させて貰える機会があります。
そんな中ホントに思う。自分の器が小さいと名刺交換して会話を交わしても、その後が全然続かないってことに。相手に何も刺激を与えていないというか、俺の存在全然響いてねーな、っていうのがわかる。
キャリアの8割は偶然だとしたら、その偶然をもたらすのはやっぱり「人」だと思う。でも、自分のレベルが上がっていないと、やってくる偶然のレベルも全く上がらないんだ。これは間違いないと思う。
だからこそ、この記述に意味が出てくるはず。
「自分のだせる最高のパフォーマンスで仕事に取り組む、その結果としてより高レベルかつ自分の関心が強い仕事にめぐり合える」、いつからかそんな正のスパイラルが働くようになり、冒頭に紹介したようなポリシーが正しいとの確信を次第にえるようになった。
ドットがなければ意味がない
未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。
この話の一番重要な点は、自分の中に「繋ぐことのできるドットがちゃんとあるか」という話ではないだろうか?
未来が分からないから過去を振り返って自分の足跡を信じよう、というのは聞こえがいい。でも、「自分の足跡」を仕事で残さない限り、過去を振り返ってつなげることができないというのが真実ではないだろうか?ジョブスだって繋げられるものが自分に在ったから、今の彼があるはずなんだ。
だからドットを作るためにも、自分がやりたい仕事が来た時に高い成果を出せる自分であるためにも、まず目の前の仕事で、他人様に「これは成果と呼べるね」という足跡を作って、「過去を振り返って点と点をつなげる」ことができるようになるのが先決だ。そうでないと、これはという勝負所で自分を信じることができない。自分を信じられないと、今いる場所から動くことができなくなってしまう。色んな意味で損をすると思う。
まとめ
■海図の話
どういう仕事をすることになるかは予測はできないけど、自分のゴールをちゃんと設定して「そこから逆算して今の自分がどうなっているかをイメージする、考える」ことができないと、色んなことが見えなくなります。
■キャリアと偶然の話
キャリアは偶然によって作られるものだと私も思う。なので、その偶然をどう活かすかというのは非常に大切になってくる。でも「偶然のレベル」と「自分のレベル」は等価なので、偶然を活かす良いスパイラルを生み出すためには、まず自分のレベルを上げないと始まらない。なので、今ある仕事の中で自分のレベルを上げることを第一に考えるべきです。