atsuizoさんのこのエントリを読んだ。
同時期に内製派として出会い、立場は変われど目指す方向が同じの友人のエントリを読んで、歯がゆい気持ちになった。
上記エントリの骨子は「プラスを広げる内製のメリットを引き出すためにも、「言われたからやる」じゃなくて「提案して、実行する」ことに価値がある、それをモチベーションにする組織作りをしなくてはならない」ということにあり、その点については完全に同意です。
でも、現場じゃ忙殺されているうちにわかんなくなるんだ。何のために今この仕事をしているのか、が。それを伝えるのは、経営の仕事なんだ。
僕は中小企業に属しているから経営と実際の業務と情報システムの3つの軸を自分の中に立ててバランスを取ることができていますが、ほとんどは「経営」「現場」「情シス」に役割が別れているため、その調整コストたるや非常に大きいものだと思います。特に社内の開発インフラが整っていない場合は。CMS入れて担当が編集して公開してOK、というレベルの話ではありませんし、フローが確立されているわけでもないですから。「走りながら考える」ってヤツじゃないですかね。
atsuizoさんも言及しているのですが、ハッキリ言ってしまえば「言われたことを作るだけ」なら内製じゃなくて外注したらいいんです。その方がスピードも速いし、融通の聞かない社内のしがらみ的な「社内調整コスト」もかからないし、受託で食ってるプロは競争にもまれている可能性も高いので品質もよいものを提供してくれる可能性も高まるし、カネを払うから責任も投げることが出来ます。あらら、イイことづくめですね。
・・・・でもさ、それがずっと続いてアタマ(経営)とカラダ(システム)の乖離が激しいデメリットが無視できなくなった昨今なワケですよ。
何度か書きましたが、進化を諦めた内製は誰の役にも立ちませんので、外注の方がよくねって話になります。情シスの部長から上のレベルの方には絶対にこのことを忘れないで頂きたいと思います。
内製志向のエンジニアは「できるからやる」「要求が固まってから動く」という受動的な考えを、早く捨て去って頂きたいのです。足元が固まらないデメリットはスピードで解決できます。スピードが出ないなら、開発プロセスを見直せばいい。要求が違った、ロジックが違った。そんなのあって当たり前です。進化を求めるためには、初めからカタチが決まっているものが提供されることはありません。優れた技術やツールを有していても、姿勢が後ろを向いてたら宝の持ち腐れなんです。
もちろんこれは会社としての問題なので経営の関与は必須ですし、逆に言えば経営がわかってなければ内製推進組織は形骸化するでしょうが、経営は基本的に技術屋のことなんかわかるわけないんですよ。わかる必然性も無いんです。ひとりひとりのエンジニアが自分が作っている機能の意味を考えて、ユーザーと膝を突き合わせてコミュニケーションを取るような仕事の進め方をしなくては、日経コンピュータの「動かないコンピュータ」リストの仲間入りになる可能性は高くなるばかりです。そこを「わからせる」努力がいつだって必要です。人間は変化を嫌いますから。
これはいつもオレ自身に言い聞かせていることなんだが
何かをやろうとした時・・・
「やらなければできない」が大事なんだ
でも人は知恵がつくと
「できるからやる」となるらしい
それは結局「できないコトはやらない」だ
それではその先の走りは引き出せない
- 湾岸MIDNIGHT 第37巻