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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

大手SIerの利益悪化がとどまることを知らない件

田中克己の針路IT - ソフト会社に明日はない?:ITpro

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      /:::::::::⌒ 三. ⌒\       ウソだろ!? 今期、いきなり利益半減?
    /:::::::::: ( ○)三(○)\          会社どーすんだろ・・・orz
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2007年はどうだったのかなと思ってニュースをあさってみると、好調の所が多かったようです。ということは、ここ2年で暴風雨のような逆風が吹いたといっても過言ではなさそう。

週末スペシャル - SI企業の好調が目立つ中間決算,下半期にかけては不透明:ITpro

3年分の数字をまとめてみた。


社名 売上高(億円) 営業利益(億円)
2007
年度
2008
年度
2009
年度
2007
年度
2008
年度
2009
年度
NTTデータ 10,449 11,390 11,429 898 985 816
大塚商会 4,694 4,671 4,271 300 270 160
野村総合研究所 3,279 3,412 3,386 481 497 400
ITホールディングス 3,224 3,383 3,148 199 237 159
伊藤忠テクノソリューションズ 3,192 3,072 2,903 250 216 215
日本ユニシス 3,377 3,101 2,720 196 158 71
NECネッツエスアイ 2,546 2,490 2,177 78 109 98
NECフィールディングス 2,141 2,110 1,908 88 104 101
新日鉄ソリューションズ 1,653 1,615 1,521 148 115 107
富士ソフト 1,696 1,650 1,468 93 73 32
住商情報システム 1,371 1,342 1,273 103 90 64
ネットワンシステムズ 1,092 1,311 1,243 54 88 50

簡単なまとめ

  • 今年度決算で増益になった会社はゼロ、NTTデータだけ増収減益、あとは減収減益。40〜50%減も。
  • シェア的にはNTTデータと11人の小人状態。IBMがビックブルーとか言われてた頃みたい。
  • ユニシス、富士ソフト大塚商会住商情報あたりが特に下落幅が激しい。異常事態。
  • どこも固定費削減に追われているので、「攻めの姿勢」とか言ってられる場合じゃない。
  • ユーザー系(商社系)SIerの数字が非常に悪い。親会社の仕事以外の案件が非常に少ない模様。
  • 受託開発のニーズそのものが、どう考えても頭打ちになっている。

雑感

今までの延長線上で取れる仕事が無くなって来た、ってことが鮮明になってきました。特に親会社に力のあるSIerの数字が悪い。系列関係の仕事しか無い証拠ですね。全体的に「予算を切られた」→「見込んでた仕事無くなった」→「稼動しない」→「売上立たない」→「利益でない」→「数字悪化」という大変分かりやすい絵になっております。昨年7月に勢いで書いたエントリ通りの展開になっているようです。稼働率を上げるためにプロパーで開発(下流工程)をと考えている会社も多いみたいですが、ドラクエでいう転職レベルの転換が求められそうなので、またLv.1からやり直すわけには・・・、という辛さが見え隠れしているようです。

あとは、毎年のことですが「上流から下流をシームレスにつなげて生産性向上による利益率改善」ですかね。最近多そうなのがエンジニアの営業・コンサルへの配置転換ですが、下記エントリのご指摘にあるように全然うまくいってないと思われます。

「営業」といっても、売り込みは必要ありません。景気がいいわけですから、仕事はあります。ですから、お客様との人間関係、トラブルやクレームへの対処、調達に関わる交渉などを確実にこなしてゆく能力が求められていたのです。

 このような能力は、むしろ、シニア人材には向いていました。彼らは、結果的に「仕事を取ってくる」という「営業」の役割を果たすことができていたのです。

 しかし、もはやそれでは仕事が取れない時代になりました。お客様との人間関係構築と営業業務に長けているだけでは、「仕事を取ってくる」という期待に応えられなくなってきたのです。

 「営業を増やした」という件の社長の発言ですが、実は、シニア・エンジニアの多くに「営業」という役職を与え、「さあ、仕事を取ってきなさい」といっているだけのことなのです。

ソリューション営業プロフェッショナルIT営業のための自分力養成講座: 営業力強化というリストラ

で、このまま利益構造に改革・改善がないとどうなるかといえば、不採算事業からの撤退・固定費削減をするしかないので、即ちリストラを発表する会社が出てくると思われます。

で、SIerが打つ手段は、下記エントリのご指摘どおり、この4つぐらいしかない。

(1)規模拡大による残存者利益狙い
(2)クラウド事業の収益化
(3)新天地を求めてのグローバル展開
(4)“元ユーザー企業”との協業

東葛人的視点 - パートナーは“元ユーザー企業”、それがITベンダーの生きる道:ITpro

(1)は簡単に言えばM&Aです。恐らく水面下で「XXXホールディングス」の交渉があるんではなかろうかと。(2)は立ち上げたばかりで中途半端な展開をしているSI会社が多いので、まだまだ先になりそう。(3)は何をグローバルに展開するつもりなんだという話なワケで・・・。ITProの識者の方が口をそろえて「決め手に欠ける」とおっしゃってるのも分かります。

で、(4)についてですが、これについては別エントリで問題提起したいと思っています。

人工商売をどう超えていくのか。厳冬の時代で凍死しないよう必死で毛布をかぶって耐えている状態から、どういう手を打ってくるのか。2010年の中間決算も要チェックです。

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