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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

能力が高くても仕事を請けることは出来ない

エンジニアのキャリアを考えればフリーになったり起業したりするというのは王道パターンの1つであると言えます。いざその道を歩むとなれば仕事を自分で受注しなくてはならない。そこに存在する落とし穴が表題そのものなんですが、もうちょい詳しく書いてみます。

「取ってきて貰った仕事をする」ヒトが「自分で仕事を取ってきて請け負う」を目指すときに起こる一番の勘違いは「能力が高ければ仕事を請けることが出来る」というものだ。

ここでいう能力というのは、エンジニアで言えば「Javaが書ける」「サーバー構築が出来る」「MySQLのDBAをやっている」というような類のモノ。要はスペックと考えるとわかりやすい。単純な話だが、仕事を発注する企業やヒトは技術の専門家じゃないので、ある一定水準以上のスペックは「どんぐりの背比べ」にしかならないことが多い。スペックが高いというのは伝わりますが、伝わったところで「それはすごいですねー」と言われてオシマイってことが往々にしてある。現実として、あなたがすごいヒトであることは顧客にとってはどうでもいいものだ。

いっそのこと、これぐらいシビアに考えて丁度いいと思っています。スキルが差別化対象になるのは自分が企業に雇用される時だけ、と。同業者が技術者を探していてそこの仕事をフリーで請ける場合は、スキルが差別化対象になり得ますが。

全く関係のない異業種に対して営業をすると己の高低など大した意味を成さないケースがたくさんある。別に自分がやる必要は無くて、余所の商材を持ってきて右から左に流しても全然OK。スルーパスを出すだけの会社はたくさんあってその一方であなたが起こした会社が終了する。そんなケースはゴマンとある。思いの外、自分の能力というのはお金にならないのだ。

発注者が最も重要視していることは提示した金額で確実に要求されたモノを納めることができるかであって、確実に納める為に必要なコトは「予定外の事態への対応」が考慮されているのかに尽きる。受託者がリスク分散をしている姿勢が発注側に伝わらないと、仕事を頼む方は怖い。頼んだけど出来ませんでしたっていうのは「なんであんなとこに頼んだんだ」という発注者の落ち度に繋がる。そして、顧客は発注した仕事内容をアテにしてその上でビジネスを行おうとしていることを、絶対に忘れてはいけない。

顧客というのは基本的には手間いらずで丸投げしたい生き物であり、自分ではなんともできないめんどうなことをカネで問題解決しようとしているというシビアな認識を持ちましょう。

皆さんが大嫌いな下請構造も、下請がやらかした時に顧客に対してケジメ付けるのは元請でありそのリスクを担保しているから発注されるという一面があることも理解しないといけない。投げたものをキッチリ受け取る必要があるかどうかは別の話ですが、そーゆーリスク担保のことを普通は信頼と言う。だから高い金を要求するに足る理由があるわけで。良し悪しは別ですよ。良いか悪いかはキミが決める事じゃない。

もしも「自分はコストを安くモノを作れるし品質も高いんでそこが仕事を貰う際の差別化要因」だと考えているのであれば、今すぐそのふざけた幻想をブチ壊そう。それはハッキリ言って、単純バカだ。あなたの能力は顧客が望んでいるアウトプットとイコールではない。能力が高くても考え方が間違れば、やり方が間違えば、ゴミが製造されてしまうことぐらい誰でもわかる。望んだ成果物が得られる保証にはならない。

サラリーマンでいられる生命時間も短くなっている時代ですから、上記内容を踏まえて今後何を身につけていくべきか、どんなことで価値を提供したいのか。連休中に、ちょいと考えてみて下さい。

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