ロジカル・コミニュケーションを考えるのにとてもぴったりのエントリが2つ並んでいたので、便乗させて頂きます。
このように全く反対のことを2つ並べて考えるのが、最も思考訓練になると思います。「Aは最高や!」と「Aはマジクソ」の本が2つ並んでいる書店って気が効くなぁと思う。
何かを主張するのなら断定的であるべき
特にインターネットで顕著なんですが、何かを意見表明して主張をしたいなら言い切るのがベストです。ネットの文章はタイトルが全てとはよく言われますが、言いたいことが簡潔でないと伝わりにくくなりますし、読まれるかどうかも怪しくなります。読まれないと始まらないという、鶏卵問題がありまして。
実は「AともいえるがBともいえる」言説は、読者のためにならないことが多いです。私はこーゆー観点に立ってこう考えたよというのが明確でなければ、相手に響くものがありません。受け取った情報から考えて頂くきっかけも生まれません。一周回って、自分に得るものもありません。発信においては、毒にも薬にもならないことは意味が無いし、それぞれの立場を配慮したような意見は不要と僕は考えています。
ただ主張が強いだけの単純バカ
その主張が正しいかどうかは、主張それだけで判断できません。その主張が「そのように言える」かを検証するためには、以下の2つが必ず伴っている必要があります。
・理由:なぜ、その主張を言えることが可能なのか。
・根拠:その理由を支えることになる事象・現実。
これらが抜け落ちている or 明らかにそのつながりに矛盾があるのに、主張を振りかざすことを単純バカと言います。イケハヤ尊師がよく批判炎上しているけど、大抵この辺に原因があると思う。
単純バカの一例をあげると「大企業で成長できるとか完全に嘘やねん」という主張の理由が「上司がリスク取らんから」みたいな。いやいや、それ大企業でなければ起こりえないことちゃうし、リスク取ってくれる上司やったら成長できる根拠はどこにあるの、みたいなね。
主張を分析する「シリコン」フレームワーク
今日は情報過多の現代社会で生き抜く皆さんのために、僕がちきりん曰く成長できない大企業の研修で教わったことを、半分うろ覚えだけどシェアさせて頂きます。
確か・・・講師はマーケティングで著名な佐藤義典さんだったと思う・・・。6年以上前なので、講師の方も正直うろ覚え。
だけど、「何かを主張するのであれば理由と根拠が組み合わなければならず、主張を崩したいのであれば"主張⇔理由⇔根拠"のつながりを叩け」というお話を頂戴した時は、マジで目から鱗だった。それだけは非常によく覚えている。ええこと聞いた。
主張を崩したいなら主張そのものに「いやそれはおかしい」と反論しても無駄。ちきりんさんの「AともBとも言える」が役立たずなのはこの意味において。確かにそういう方は多い。相手の言っていることを叩くのではなく、相手の言わんとしていること(理由と根拠)を汲み取って、その上で「その主張が通るのであれば、この理由はおかしくないですか」という話をしないと、議論が進まないからね。
そうなると、逆説的だけれども「AともBともいえる」シリコンのトライアングルが出来る。それでいい。受け手のそれぞれの立場によって、正しいかどうかは違ってくるんだから。
極論は議論の幅を決めるもの
「Aしかない」という極論には、確かに何の意味もない。ただ、「Aしかない」を活かすには「Aなわけがない」という対となる極論が必要になるだけなんです。
- 大企業で成長できるとか嘘
- 大企業で成長できないわけがない
どっちも極論です。どちらも、それだけでは何の役にも立ちません。でも、この極論の間を「行ったり来たり」することで、自分にとって「大企業に入ると成長できるのか」という問題に対する仮説検証が可能になるんですね。どういうケースなら成長できるんだろう、どこで間違えると成長できないんだろう、って感じで。仮説はいくつあってもいい。所詮、大本の立ち位置が変われば全部変わる。人間は社会的生物なので、立場が変われば考えも変わる。ノープロブレムですよ。
この極論の狭間を行き来するって話は、以下の書籍に書いてあった。もう絶版っぽいですね・・・。中古ばっかり。図書館などにあると思うので、是非。
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まずは、相手の言わんとしていることを考えよう
コミュニケーションの一番大切なポイントは、相手の言ってることではなく相手の言わんとしていることを汲み取る努力をすることだと僕は考えています。なんでそう言うんだろう、なぜ言ってることが違ってたんだろう、なぜここで困ってるんだろう。そういう断片をつなぎあわせて、シリコンをうまく組み立てながら、「あなたの言うことならば」と仰ってもらえるよう頑張りましょう〜。