週末スペシャル - “スルガ銀−IBM裁判”を振り返る:ITpro
スルガ銀行がIBMを訴えたのは債務不履行とのこと。つまり、債権者であるスルガ銀行が「IBMの責任で」自分たちが望むシステムを作り上げることが出来なかったと言っております。債務者(IBM)の責任である場合は、スルガは契約の解除や、不履行により生じた損害を請求することが民法で認められているそうです。スルガから契約解除&損害賠償という強烈なワンツーパンチが飛んでいます。
要件定義を3度もやり直すという記述がありましたが、恐らく要件と要求が入り交じった「こーゆーことができるようになりたいです!」という夢と現実の区別が付かない仕様書があって、結局そいつの着地点がスルガもIBMも決められず「そのうちどうにかなるやろ」と宙ぶらりんのまま続けていき、現行業務とのギャップが後から後からザックザク出てきて、そのギャップに+αされた機能が特盛りになって、追加見積もり出すしかない的なアレになったんでしょう。
IBM側は要件定義をやり直すたびに別の個別契約を締結して進めていたのかもしれません。請負でやらないようリスク回避していたのかもしれない。追加見積もりを出すのは正しい。契約外なんだから。個別契約の中で請け負ってない以上ウチの責任じゃない、という理屈なのかもしれない。
でも、スルガからすれば基本合意書で2008年1月にカットオーバーするって合意しており、個別契約の締結にしか法的拘束力が無くても合意には違いないだろ、という話になっているんじゃないでしょうか。ま、ユーザーさんはみなさんそうおっしゃいます。
現場レベルでは何度も何度もIBM側は「こんなの無理です!話が違うじゃないですか!」と言っているが「無理ってなんだよ、そこで止まるなよ。出来る方法考えろよ!」という話になってしまったんでしょう。その要求が、ホントに必要なのかどうか、誰にも分からないままに。要求漏れが怖いからひたすらRTし続けるユーザー側の担当者なんか要らないんだけどって言えたら・・・!
何にせよ、契約の話で争っても和解できそうにないのでどうしようもなくなったので、進行上の問題で接点を見つけようとしている感があります。IBMの責任者の方が証人喚問にやってきて、その点を主張し始めました。
日経コンピュータReport - 「改変を強要された」、スルガ銀−IBM裁判で日本IBM副会長:ITpro
上記のIBM側の証言を踏まえると、とどのつまり、
スルガ「当行の要求を飲んだのに出来なかった、IBMのプロジェクト進行に問題がある。」
IBM「スルガ銀行の準備不足及び要求がそもそも異常なものであり、履行することは困難だ。」
という戦いになっているようですな!
が、この軸でもIBMのほうが立場は弱いように思います。
まぁどこで接点を見いだすのかは分かりませんが、和解するにせよ訴状を取り下げることは考えられないので、逸失利益云々は除外されるけど、20〜30億ぐらいの賠償をIBM側が払って終わるんじゃないでしょうか。
僕は出入りの業者の立場なので、IBMにはシンパシーを感じています。出入りの業者ではホントにお客様が必要なモノなんてわからないもの。出された料理が理由もなく不味いと言われ下げ続けられる辛さ。レシピをユーザーが書けないというのが実は大本の問題なのかもしれない。現行との整合性を保つのはベンダーだけでは困難。「牛肉のステーキ」って完成図だけ用意してひたすら料理作らせて「口に合わないから下げろ」という世界を脱却しないと、こんな争いがずっと続くのかなってセンチな気分です。