GoTheDistance

ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

泥の業界でも仕事は宝石なこともあるんだよ

id:wa-renさんの所でこれと同様の立ち位置のイベントが開かれていた。お疲れさまでした。

ITギョーカイ俯瞰図

あの絵はポンチ絵だからあんまりマジで突っ込まれるとwa-renさんもちょっとツラいと思う。でも「SI目線」から見たらあの絵はいい絵だと思います。SIの「S」は業務システムの「S」なので仕事の単位が会社単位になる傾向が圧倒的に強く、id:amachangが疑問に思ってたBtoC市場の仕事はSIにはふってこないことが多いです。個人顧客用のWebサイト(通販とか)は大抵子会社に作らせているんじゃないかなってふと思いました。ツタヤにおけるツタヤオンラインとかね。

泥ってなんやねん

それよりも何よりも、「泥のように働く」からイメージされることが各々違いすぎているように感じられた。泥とか辞めようぜ。何が伝えたいんだかわかんねぇよ。私の泥イメージは「多重構造ピラミッドの最下層の会社にいて委任契約でただ作業だけすればいいんだよ別に言われたことだけやってればいいからさ」っていう状態で突っ込まれている人とか、元請がデスマにしちゃってスキルがある程度無いと火消しできないから、スキルがある故にその尻拭いばかりをやらされているプログラマとかだと思ってた。

私は泥カンの標的である大企業に勤めており6大学の出身(立ち位置的にはエリートになるのかな?)ですが、デスマは私も経験しました。月の仕事時間が400時間を超えたことがあります。2ヶ月近く。それこそ泥のように働いた。だって誰もやってくれないし、既に何万人というクライアントの顧客に対してこの日から使えますってコミットしちゃったので、当然納期は変わらなかった。仕事は界王拳発動で増えているというのにね。

でも、今振り返るとそれが一番思い出に残る良い仕事だった。

刺激に満ち溢れた日々だった。自分の成長をあれほど肌で感じられたことは無かった。プロジェクトはちゃんと前進していたし、全てが覚えたてだった技術的なことが結実してスキルになっていることを毎日のように感じられた。もちろんすごく気が滅入った時もあったけど、得られるものが多かったので鬱にはならなかった。

よって、この一文に全面的に賛成。こういうことを学生に伝えないといけない。

泥のように働かされるのは問題ですよ。会社に搾取されている可能性が高い。でも、本当にスキルを身につけたければ自ら泥のように働くことです。

これは名文。10回声に出して読むといいよ。

泥のように働かされるのは業界構造による会社の立ち位置、大きな会社なら部署レベルの顧客構造によってピンキリです。ハッキリ言います。ピンキリです。なのでやべぇなこの会社っていう感覚を感じて、会社を俯瞰できるような距離を取る「ずる賢さ」は必要です。この業界はIT業界とひとくくりにされてしまうけど、実は非常に複雑な業界です。キャリアを積むという意味では。同じプログラマでも全然違うんですよ。会社が違えば。顧客が違えば。

だけどさ、環境に絶望することなんてどの業界でもある話なんだよね。IT業界だけ様々なキーワードというかバズワードがあるし、ネタにされやすいだけなんじゃないかな。本当の泥っていうのは、働いても働いてもスキルにならない状態のことだと思うよ。それこそ泥にまみれて泥が固まって柱となって会社に埋もれていくんじゃないかな。でも、この業界は自分の頭で食っていくことが出来るのだから、業界構造が泥のようでも仕事は自分で選べることも出来るし、独立も出来るし、デスマだけどそっと心にしまっておける宝石のような仕事も出来るって。私はそうしてやってきたんだから。

それに、SIってエリートじゃない普通の人だからこそ出来る側面もあると思う。ちょっと語弊はあるんだけど、業務システムってトランザクション管理は大変だけどそれ以外は大して難しいことはないことが多い。私のような新卒デビューでもやっていけた。アルゴリズムとか詳しくなくても実はやっていける。業務ルールってのがわかればいいから。色んな人にチャンスがある業界だと思う。問題は山積しているのもまた事実だけど。

Think Globally, Act Locally.

例のイベントではそんな話を出来たらいいなぁって思います。

SQLを学習できるWebサービスを作りました。