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GoTheDistance

クオリティスタートという会社をやっている人のブログです。中小企業のIT活用を全力でサポートするエンジニアです。

「一括請負はお互い不幸」から「作らないSI」へ

システム開発

僕がSIerを退職して5年。大きな潮目を迎えているのかもしれない、SIビジネスのお話。

itpro.nikkeibp.co.jp

簡単にまとめると「一括請負はゼロサムになってお互い不幸なんで、XaaSを使って作らないSIをやり始めている」という話を「オルタナティブSI」という言葉で表現しているようです。この5種類に分類してくれていますが、ただ並べただけで軸はバラバラです。

  • 月額契約型サービス「納品のないSI」
  • 固定料金でシステムを構築する「定額パッケージSI」
  • 自動生成ツールを使う「自動生成SI」
  • クラウドでITインフラを構築する「クラウドインフラSI」
  • ユーザー企業自らシステムを外販する「コミュニティSI」

作らないSIはずっと前から目指していた

代替となる選択肢は色々あるけれども、根幹にあるには「作らないSI」を目指していることだと思っています。

僕がSIerにいた10年前も「作らないSI」をやりたいと社内で議論されていました。ソフトウエア開発は技術力の高低によって、成果物に大きなブレがあります。だけど、仕事として請ける以上は質の均一化は当然のこと。会社の信用問題です。均一化を目指して10年前に生み出されたのは「俺のフレームワーク」という皮肉。OSSベースの標準フレームワークを頑張って作っても「オレの案件、VB。お前のフレームワークJava。糸冬。」という話がとても多かった記憶があります。内製で頑張って標準化を進めてもあまり見返りがないし、稼働率を重視する人月の世界では可動が最優先ですから、なかなか厳しい。

でも、クラウド技術が当たり前になりまして、サインアップすれば誰でもITリソースがジャンジャン使える時代になり、ようやく作らないSIが出来る環境が整ったのではないでしょうか。ボタン一個でサーバー起動で自動スケール、メールサーバやスマホプッシュ通信、VPNもどんとこいというサービスを使うことが出来て、質も良いしお安い。よほどの理由がない限り、使わない理由がなくなってきました。関係ないけど、AWSこえ〜。AWS lambdaでついにサーバーレスのSIまでやり始めた。何でもアリやな。

作らないから、契約も変えられる

作らないでやれるんだったら、契約の方法もそれに適したものに変えていく。作らないわけですから、期間と人数を掛け算してもしょうがない。人月計算型で3,000万のシステムが下手すれば100万に収まるとすると、積算する意味が無いってこと。成果報酬は揉める要素が大きいので、固定額(買い切り)とサブスクリプション(月額定額)が多いみたいですね。固定額の内容が人月ベースの成果補償から別の形に変わっていく。健全な変化ではないでしょうか。

ある程度の技術力はクラウドが担保してくれるので、技術力で差をつけられる要素は少なくなりました。なので、自分たちの技術をどうパッケージングして売り出していくかというマーケティングが、これからのSI企業に最も必要な力だと考えています。倉貫さんの「納品のないSI」みたいな感じ。マーケティングって要はポジショニング。自分にカネを払う理由を教えてあげるわけですよ、今そこにないポジションを取ることで。

どの会社にもCTOが必要であって欲しい

作らないSIが出来ることで、委任に近い格好でSIビジネスが出来るようになった。請負でなければ、極論すれば個人でもSIが請けられます。コード書かなければ、誰がやってもシステムのコード品質は保てます。システムそのものに価値があるかは、全く別ですけど。

作らないでシステムを作ることがどんどん進んでいけば、よりユーザーが自分たちの袖にあったシステムを手に入れられるようになっていくでしょう。必要なシステムを最低限のコストで手に入れられるし、作らないのでコードがブラックボックスにならないのなら、中小企業のIT活用の最大の問題点である「ITがわかる人材がいない」というハードルをクリア出来る気がします。技術者を雇用するというハードルを下げることが出来ますし、ユーザ企業のビジネスの仕組みを支える技術顧問というロールを担うエンジニアが、増えていくとすごく面白いと期待を頂いています。3文字で言えば、CTOですね。

この10年で一番変わったことの一つに、「CTO」という言葉が当たり前になったことを僕は挙げます。10年前にはCIOという言葉しか無かった。でも、今はCTOっていう言葉が業界内では当たり前に使うし、CTOを輩出する上場企業もバンバン出ている。

今後10年で、色んな会社さんにCTO(社内外問わず)が在籍してビジネスの下支えをしてくれるような形になるのが、作らないSIの先にある未来であってほしいなと思います。