業務設計・要件定義等の支援を生業としている中で間違いなく言えるのは、「いきなり!要件定義!」は死に至りやすいこと。ビジネス要件整理してないのにITの話をしても虚無だよねっていう話ですが、「ビジネス要件を整理できる」というこの一文に至るまでの断崖絶壁を感じました。
その背景について掘り下げていきたいと思います。
コーポレートITの本質は情報共有
営業/製造/生産/研究開発/受発注/出荷/人事/経理/総務/法務/情シス... 企業組織にはとっても多くの業務が存在します。業務単位で皆さんが異なる仕事をしているけど、連携は取らねばなりません。その連携を行うためにITシステムがある。メールやOfficeソフトから、業務特化型のシステムやSaaS、グループウェア、古き良き最高のツールである紙媒体。
自分以外の誰かと情報共有しないと仕事が回らないという必然性があるから、使うわけですよね。一人だけでSlack使う必然性は限りなくゼロ。自分だけなら使わないITシステムはたくさんあるはず。なので、コーポレートITの存在意義は情報共有です。
その情報のレベル感や質は、別の議論になります。要件定義の壁だな〜と感じるのは「自分が行っている仕事を分解することが出来ない」という点です。
業務改善=「自分の時間の使い方を変える」
話を単純化します。
出社して「今日のToDoは...よし、何の依頼も一切ない!今日は自由にやりたいことをやろう!」というケースは、基本ない。メールを打つ、資料を作る、会議に出る、お客様先にいく、色んなToDoがありますけれど、誰かの依頼を起点としているという共通点があります。もう1つあるのが、皆さんのお仕事の結果を待ってくれる人がいる点。誰かに動いて貰う必要がある事が多い。
皆さんお一人お一人が日々業務で使ってる時間は、皆さんの自由意思で決まるものではなく、「誰かに依頼され、終わらせて、引き渡す」という一連の流れで決定されます。まずこれが、大前提。
業務改善を一言で言えば「自分の時間の使い方を変える」になります。先程の「誰かに依頼され、終わらせて、引き渡す」という流れ(プロセス)を変えないと、時間の使い方を変えるのはかなり難しい。自分の自由意思で使える時間は少ないし、自分だけやり方変えるのも難しい。
自分の時間の使い方を振り返って一連の流れで仕事が生まれてくることが見えてくると「ここで良くないことが起きてる」「こんな時間の使い方をしたらアカン」等の「想い」が出てくるはず。PCはだるい、スマホでサクサクやりたいとかでも、全然OKです。多分、わんさかでてくるはずです。
時間の使い方を変えたいという想いがないと、業務改善のコンセプトが決まらないのです。それを最近、痛感しています。
で、時間の使い方を変えるシステム企画を生み出すには、自分の時間の使い方を振り返ることで、ここの道順が良くないのか〜という問題意識がクリアになって、問題の解像度が一定レベルまで上がらないと、ダメなんです。
要件定義?まだ速すぎるのでは?
要件定義という工程は、業務改善のコンセプトが決まり、時間の使い方を変えるオペレーションが設計できて、その上で初めて行うものです。前段の内容が全く煮詰まっていないと、要件定義やっても死ぬ確率は高い。目的と手段が乖離するから。
人類に要件定義はまだまだ速い、だが、やりきりたい。そう思います。
バックオフィスや業務系の話を主眼にしましたが、UXも同じじゃないですか。時間の使い方を変えるおもてなしを提供するもんだと思ってました。