GoTheDistance

ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

自分の半径5メートルを作っていこう

先週の木曜日に吉岡さん(id:hyoshiok)とタケルンバ卿(id:takerunba)と品川で飲んでいた時にアツい話が出来た。書き留めておきたい。

吉岡さんの半径5メートル

こちらのエントリに書いてあるお話を直接聞けた。長いけどそのまま引用する。

10年前にNetscapeはそのソースコードを公開し、それをモジラと名付けた。98年1月23日にそのプレスは発表された。その衝撃。3月31 日のソースコード公開までわくわくしながらそれを待ち、当日28Kbpsのモデムで2時間かけてピ〜ヒャラピ〜ヒャラさせながらダウンロードしたのである。それから数ヶ月、夜中に自宅でハックした作業について書いたのが、「モジラの解剖」だったのである。

昼間はOracle 8.1(後にOracle 8iと呼ばれる)のエンジンを開発しつつ夜中にモジラを解剖する。そのような体験をするのは生まれて初めてだ。なんだかとんでもない事が世の中でおこっている。そのワクワク感、ドキドキ感を綴った。思いのたけをふりしぼって書いた。

誰かに向って書いたわけではなく自分の正直な気持をストレートに書いていった。

それが「モジラの解剖」だ。

10年後、渋谷で「さよならNetscape」というイベントで、そんな事を、おじさんの昔話として語った。そうしたら会場にいた何人(!)もの人が、よしおかさんの「モジラの解剖」を読んでいましたよ、あのページを見たからモジラに興味を持ったんですよ。Software Design誌に載った、よしおかさんの記事を読みましたよ。あの記事を読んだんで、今ここにいるんですよ、と言われた。

10年前、誰のためでもなく自分のために書いたウェブのページ。シリコンバレーで書いたページを日本で読んでいた人に、10年後、渋谷で再開する奇跡。

涙が出た。嬉しかった。

端的に言えば、自分が楽しくて始めたMozillaの技術メモをWebで公開し発信していったら、その記事によって他人の人生に影響を与え、10年経ったNetScapeのお別れイベントのその会場で酒を酌み交わしている・・・というお話です。その時の吉岡さんの嬉しそうな顔といったらなかった。

この3人と同列に括っていいのかはわからないけれど、少なくともWEB上で発信することで自分の人生を豊かにしている経験がある。だから、僕は吉岡さんのお話が「どれぐらい」感動的なのかを推し量ることが出来る。でも、経験したことが無ければそれは単なる美談でありその感動が「どれぐらい」のものなのか、計り知ることは出来ない。なんかすげぇな、で終わる。自分の中に響かないから、残らない。

自分の人生の問いの答えのヒントは、自分のブログの先にいくらでも転がっていると僕はよく思う。

Web上で「なぜ私はこのブログをやっているのか」を語っていれば(エントリが物語っていれば)いつかは自分の半径5メートルにリーチできる。最初は5cmかもしれないが、何でもいいから中断しないで続けていくことが大切だ。僕はもうブログ自体は5年目になります。その継続は機会をもたらし、その機会のなかで次第と信念を司っていく。そして、信念を持った言葉は何よりも遠くへ届く。そこから、自分に関心をもってくれるヒトが現れ、接点が生まれる。

これが、半径5メートルに届いた瞬間だと僕は思っている。こんなカタチで接点が生まれることはとても嬉しいもので、一度そういう経験をするとWeb上の発信をやめる理由が無くなる。

こう書くとあたかも「すごい」体験談でも書かなければいけないように感じられるかもしれないが、「すごい」体験談は小さな小さな日常の経験の延長線上にある。自分が目の届く範囲なんていつだって小さい。問題はその先にどうホップできるかにかかっている。

僕は別にスーパープログラマーでもなければ社会的実績もない、東京在住の20代の一般人です。ただ、一般人でも自分の半径5メートルの先にいる「すごい」ヒトにホップして、届くことができる。シリコンバレーOracle組んでましたっていうキャリアをお持ちの方と、たまたまSI会社に入った一般人の僕が接点を持てるのである。何も知らない会社の同僚にそんな話をすれば「おまえ何言ってんだ?」というのが関の山だが、いやいやこっちは大真面目なんだって。リアルなんだって。

それも、「今日は何を食った」「この雑誌が面白かった」「このコードはこうすべきだ」「これがつまらんかった」といった日々の些細なログを書き連ねたことが、やっぱり全てだったのだ。

なので、半径5メートルに届く瞬間が訪れるまで、何でもいいからWeb上での発信にトライして頂ければと思う。その扉を開ければ、悪いことにはならないから。

Life is really short, so let's have your life!