GoTheDistance

ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

全てが急速に短命化する

たぶん今年最後のエントリ。

自分が社会人になってから(つまり2003年から)、この社会に存在する全ての企業組織が急速に短命化しているように思います。特に企業の短命化は著しいと思う。大前研一の言葉を借りれば「産業突然死」の時代に入っていることは間違いない。

情報技術の急速な進歩は、しばしば従来の産業構造や業界秩序を一夜にしてひっくり返してしまう。2003年後半ごろから顕著になってきたそうした現象の一つが、企業そして産業の「突然死」である。ほんの数年前までは高収益を享受していた企業や産業が、あっという間に消滅の危機に陥ってしまうのだ。

写真フィルム産業の死をもたらしたのは、デジカメの台頭。ビデオテープ産業の死をもたらしたのは、デジタルディスクの台頭。レコード販売業の死をもたらしたのは、iTMSや着うたに代表されるオンラインダウンロード販売の台頭。このような側面を踏まえると情報技術はまさに劇薬のように思える。使い方次第で圧倒的な破壊力をもたらすことができるのだから。

これは私の持論だが、情報技術の根幹は「全てのモノは数字によって識別することができる」ということだと思っている。ユニークな数字を振っていくことで、この世の物質を全て表現している。それに気づいてしまえば、後はユニークな識別番号を振るだけだ。音楽、画像、ファイル、データベース、アドレス、パケット、商品、人間…。何でも数字を与えれば識別可能だ。たぶんこの定理そのものは太古の昔からあったんだろうが、実現手段としてコンピューターが爆発的に増加したことにより、何でもかんでもコンピュータ化することができるようになったこと、そして何よりも、コンピュータに格納されたデータをネットワークによって双方向通信できることになったことが、産業突然死を招くのに至ったと考えている。ドッグイヤーとはこのことだ。実におそろしい世界である。

つまり、情報技術が産業のライフサイクルを著しく短命化させているということ。IT 技術はある意味死神なんだ。社会環境そのものが短命化しているんだから、それで飯を食ってる企業組織が短命化するのは当然のことだろう。企業にとって最も重要なことは、社会環境のはずなのだから。

しかし、こういった時代の変化というものは何によって動いているんだろうかと気になるときがある。私の答えは「恐らくこの世に存在する物質は、全て新陳代謝を行うように作られている」だ。古いものを捨て、新しいものを作るというサイクルを「新陳代謝」と私たちは表現するんだけど、その新陳代謝のサイクルがこの宇宙全体の隅から隅まで組み込まれている。たぶんそういうことなんだろう。人間の意志とはまったく関係ない所で、何らかの新陳代謝実行エンジンなるものが動いているんだろう。だからこそ、万物は必ず変化する、ということなんだろう。

エジケンこと江島健太郎さんは以下のエントリでこのようなことをおっしゃっている。

最先端の技術を扱っているときに限っては、「バッドノウハウ」はとてつもなく重大な意味をもつ。問題は、自分が獲得したバッドノウハウにしがみつき始めたときに起きる。最先端の技術を追うことをやめた直後から、その人の持っていた技術的なノウハウはだんだん色あせて、いつしかもっとシンプルな技術の登場によって徐々に置き換えられていく。それは、この世界が新しい世代への新陳代謝を維持するために巧妙に仕込んだチェンジ・エージェントなのだろう。

私がズラズラと言っていたことを、一言でズバっと定義してくれている。チェンジ・エージェント。実にいい。

チェンジ・エ−ジェントの正体は分からないけれど、ではそのエージェントが「どのように新陳代謝を促すのか」を考えてやまない人間はいっぱいいる。その変化について私が一番刺激を受けたのは、この本だった。

この本の主題を素晴らしい要約で教えてくれるのが、このカスタマーレビュー。このレビューに5つ星!

タイトルには「弁証法」とありますが、出てくるのは5つの法則だけ。しかも、そのうちの1つを知っておけば十分とのこと。非常に分かりやすい内容でした。

その法則とは・・・「物事は螺旋的に発展する」。

らせん階段を想像いただければ分かりやすいのですが、螺旋とは、上から見ると、ぐるぐる回っているだけに見えます(原点回帰)。

しかし、横から見ると一段ずつ昇っていくのが分かります(発展)。

つまり、螺旋的発展とは、かつて消えていったものが、新しい価値を伴って復活することです。例としては、かつての手紙文化→eメール、市場のセリ→ネットオークション、などです。

世の中は、螺旋的発展を遂げています。しかし、かつては発展のスピードが遅く、一人の人生の中でそれを見ることができなかったのです。今はドッグイヤーとも言われる速さで、まさにあらゆるところで螺旋的発展が起こっているのです。

かつてどんなものが、なぜ、消えていったのか。どうすれば復活するのか。そういう視点で世の中をよく観察することが必要とのことです。

新しい視点、切り口を気づかせてもらいました。

変化というものは、すべからく螺旋的な発展であるということ。私はこの法則を支持します。変わらないものと変わらなければならないものが螺旋階段のように絡み合っている、と。

よくわからないエントリになってしまいましたが、この辺で終わりにします。皆様よいお年をm(_ _)m

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