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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

【書評】C#実践開発手法 〜デザインパターンとSOLID原則によるアジャイルなコーディング〜

監訳者でおられる通りすがりのエバンジェリスト 長沢智治 (@tnagasawa) | Twitterから献本頂きました。

本書では「Adaptive Code」をテーマにしています。Adaptiveとは、コードを大幅に変更すること無く、新しい要求やシナリオに対処する適応力のこと、と定義されています。コードを大幅に変更すること無く変化に適用するためにはどうしたらいいんだっけ...っていう話を、デザインパターンやSOLID原則という概念を用いて解説する一冊になっています。

Adaptiveであるためには、とにもかくにも依存関係を整理しなければなりませんよね、という話から始まります。それをコードで表現したパターンを「Stairwayパターン」と表現しており、具象クラスの隠蔽を階段を登り降りするかのように表現しています。

依存関係をゼロにすることは出来ないけど、依存関係を疎結合にすることは出来ます。また、そうしないとダメな理由をこれでもかと言うぐらいサンプルコードを交えて説明しています。デザインパターンやTDDなども触れていますが、それらはあくまでも依存関係を整理することで、コードを変更すること無く変化に対応し、そのようなコードのテスタビリティが高い理由を説明する補足説明で使われています。

SOLIDの原則

この内容については本書をあたって頂くとして、面白かったのがSOLIDの「L」のパートで紹介されている、リスコフの置換原則というお話です。その中で「事前条件と事後条件」について語られており、それをコードベースで書くことが出来ます。事前条件は「入力となる対象全部の値が、そのメソッド正常に動作する条件を満たしているか」です。事後条件は「戻り値が有効な状態であるかどうか」です。

これを.NETの仕組みを使ってやるとこうなります。Beforeがif分岐コード、Afterが事前条件と事後条件をContractsを使ったものです。条件を満たせないとContractExceptionがスローされます。JavaでいうAssertみたいなもんですかね。

Before
public decimal CalulateCost(float kilograms,Size<float> inch) {
  if( kilograms < 0f ) {
   throw new Exception();
  }
  if(inch.X < 0f || inch.Y < 0f ) {  throw new Exception(); }
} 
After
using System.Diagnostics.Contracts;

public decimal CalulateCost(float kilograms,Size<float> inch) {

  Contract.Requires(kilograms > 0f);
  Contract.Requires(inch.X > 0f && inch.Y);

} 

C#erなら取り敢えず読んどけ

とにかく本書はしつこいです。しつこいぐらいコードを載せて「Adaptive」について400p近く語られています。本書でも「抽象化を行わなければ、無数の要求が大きな泥だんごと化し、責務はほとんど描写されず、結果としてユニットテストがなく保守も拡張も難しいのに、業務上不可欠なアプリケーションが出来上がります」と警鐘を鳴らしています。自分の明日の仕事をラクにするためにも、C#erは本書をあたる価値があるでしょう。

全然関係ないけど、個人的にはWPFのMVVMの決定的な入門書が欲しい。ピュアにC#で実現するパターンと、フレームワークを使うパターンで。しつこいぐらいそこを解説する本、なんか無いかな〜。

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