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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

【書評】プログラムは技術だけでは動かない

技術評論社、傳様より献本御礼。

本書は「技術的な力はあっても、仕事として作った技術を活かした製品やシステムが、使いものにならないことがある。」という問題意識が根幹にあります。技術力を活かして飯を食うために「プログラマとしての仕事力」という観点で自分のキャリアを考え直してみたらどうだろうか、という位置づけになっています。決して技術力を卑下しているわけではなく、技術を活かすのであれば仕事として評価されないとダメだという話です。

いくつか、僕が響いた内容をピックアップしていきます。

作るだけでは仕事にならない

プログラマとしての仕事力というのは当然いくつかの能力があるわけですけれども、本書で一番最初に出てくるのは「作るだけでは仕事にならない」ことを念頭に置くということでした。出来たかどうかじゃなく、依頼者の課題を解決できているかどうかという意識を持つ。全くその通りだと思います。

でも、お客様の依頼を請けて、それを自分の手で直接実装して製品を作って納めたりっていうフィードバックを受ける機会を得られること自体が稀かもしれないという心配もあったり。元請けじゃないと出来ないけど、元請けが自分で作ることがない場合はその限りじゃないし。逆に言えば、もうそのような機会を積める会社にお勤めの場合はとても恵まれているかもしれないな、と思います。

ソフトウエアはいくら自分が完璧だと思っても、それを使う人やそれを担いでくれる人にとっての完璧とは質が違うもの。その辺のすれ違いを超えられることが大切ですね。

知ってもらわねば損をするだけ

プログラマとして仕事を請けるにあたっては、自分のことを知ってもらう活動(大きくいえば広報活動)がすごく大切だとおっしゃってます。自分が何が出来るのか、どんな仕事をしてきたのかというバックグラウンドを知られているのとそうでないのとでは、全く違う、と。今ではソーシャルメディアのおかげで自己PRの場所はたくさんあるわけですから、能ある鷹は爪をジャンジャン研いで出しましょう。

プログラマとしての得意分野とは言語等のことではない

これが個人的に1番響きました。

得意分野としている技術が廃ることは困るという意見も、実際そんなことはないだろうと。自分が得意としている分野の問題解決で専門性を発揮していれば、応用も効く。

「自分がCが書けます、Railsが出来ます」というスペックとしての話ではなく、「得意なプログラミング技術を用いて、どんな問題を解決するのが得意なのか」が、プログラマとしての得意分野。そこを意識して欲しい。

本書にはそのように書かれておりました。

受託開発と製品開発の両方で食ってきている著者の方ならではの視点が多く、読み応えがあります。プログラミングの仕事をしている人だけでなく、プログラマに仕事を依頼される方にも一読して欲しい本です。

SQLを学習できるWebサービスを作りました。