前エントリがまだ盛り上がっている中、続編を書きます。上のエントリは補足、このエントリは続編です。私なりに勢いでスーツのロールモデルについて書きました。
揺れ動く197X世代
下記エントリは、SIerの中で揺れ動く197X世代の心情をよく表していると思う。
構造上の問題を抱えた古いSI業界をさておいて、外の世界に飛び出していく。それが、今のところIT業界を楽しいと思ういちばんの近道だと思う。しかし、それが出来るのはスキルを磨いた「本当の技術者」に限られるのではないか。
恐らく、同様の問いを抱えて悩んでいる人がいっぱいいると思う。そんなYOUたちにこのエントリを捧げたい。
「ウェブ時代をゆく」の中で頻繁に登場する「高速道路」という言葉。プログラミングにおいては至る所に高速道路が敷かれていると思う。英語の壁というのもあるんだろうけど、ちょっとぐぐれば生きた素材がいっぱいでてくる。タダで乗り回せる首都高みたいなもんじゃんか。3号線がJava、5号線がRuby、6号線がPerl・・・。走る所は違えど、ジャンクションは至る所に用意されている。降りるインターも用意されている。これほど知のネットワークがある分野は無い。だからこそ、OSSっていう奇跡的な贈り物が出来るんだろう。
でも、実は辛い側面だってあると思う。
それはプログラミングが高度な知的作業だってこと、常に実践しなければ「旬」が過ぎてしまうスキルであるという2点に、大きく起因する気がしてならないんだ。
これは誰も議論していないと思うんだけど、この高速道路は参加人数に比例して「最低走行速度」が速くなると思う。その最低走行速度までいつしかアクセルを踏めなくなってしまうので「大渋滞」が起こるという気がしてならない。そして、プログラミングは間違いなく高度な知的作業。それ故に、もうハッキリ言えば、出来ない人はトコトン出来ない仕事だし、センスの有無が強烈に出てしまうし、ソースコードという土俵の上でみんなが切磋琢磨しなくてはならない。そこにあるのは生々しいリアルだけだ。お情けなど無い。屑コードは屑でしかない。腐っても鯛なんて概念が通用する世界ではないのだから。自分の「弱さ」を晒せなければ、前に進めない。それがコードを書くってことなんだ。今、ウチの新人にはそれを一番に伝えたいと思っているんだよね。
そんな現実がある中で「本当の技術者」だけがこのSI業界、もっと大きく言えばウェブ時代を生きていくことができないはずがないだろう・・・。そんなバカな話があるわけがない・・・。何か道があるはずだろう・・・。
そういう衝動に駆られてで勢いで書いたのが、前述のスーツにはスーツの道があるだったんです。
スーツの生きる道は、きっと「けものみち」
ただ、SIerという種類の会社の中で(良くも悪くも)「仕事が出来る」人は、必ずしもそういう典型的な「IT」技術者ばかりではない。例えば、顧客との調整ごとが上手いとか、いろいろ話を聞きだしてくるとか、手際よく設計書をまとめるとか、メンバーを率いる統率力があるとか、後輩を教えるのが上手いとか、上司を説得するのが上手いとか、果ては下請を叩くのが上手いとか云々。
最後はひどいのでDISりまくっていいと思うw
だけど、それ以外はこれはこれですごいことじゃないか。なぜ、これがすごいっていう議論が起きないんだ。おかしいだろう?絶望してる場合じゃないだろう?
コードが書けて顧客との調整ごとがうまいなんて、エンジニアからしたらどれだけ頼れるスーツなんだよ。高度な知的作業であるシステム構築という作業を、残念ながらそれを理解する事ができない顧客に対してわかるように説明できるなんて、ハッキリいって知的な化け物でしかできないはずだ。今ここにないものを新たに作るってことは、自分が置かれている立場によって「思いつき」がコロコロでてくる。それを引き出して「お客様!あなたの欲しいものはこちらでございます」っていう要求を「最終的な実装イメージをエンジニアと共有しながら」引き出す事ができたなら、最高じゃないですか。それができれば、どんだけすごいんだよ。平成の孔明藤田だって、スーツ寄りじゃないか。あれだけのシナリオを書ける人間は、どんだけ希少価値高いんだよ。
そこには「高速道路」なんてもんはないんだよ。けものみちでしか、味わえないものなんだよ。もしくは大渋滞の中でゆっくり歩きながらでしか、得られないんだよ。
コードを書かなければわからないこともあれば、コードを書かなくなって初めてわかることだっていっぱいあるってことを、誰も言っていない気がする。だから、オレが言う。そこの価値を今まで誰も語らなかったのといえば、そうではないでしょう。皆さんだって色々お話されているはずなんだから。それをDISるなんてあり得ないと思う。
僕は、けものみちを行こうと思う。
その中には色んな可能性が落ちている。ハイブリッドな人材だったり、Webサービスを生業とする会社を立ち上げることだったり、組織コンサルだったり、Java2Rubyに出てくるようなマネージャであったり、ワインバーグのようなコンサルであったり、CTOとかであったり、Webで面白い事立ち上げるプランナーであったり。正直言って、何が落ちているかさっぱりわからない。でも純粋なソフトウェアエンジニア以外の自分にアイディンティティを感じるのであれば、けものみちを行けばいいじゃないか。歩いてみなければ、そこに何が落ちているかなんて絶対わからないのだから。
最後にこの言葉で、このエントリを締めたいと思う。
Stay Hungry,Stay Foolish!
gothedistance with the Suits