孤高というやせ我慢をしながら、会社の経営に直接関わっております。
私のミッションの1つには、会社を回す仕組みを高度化させ本業に貢献する業務システムを作ることがあります。
サラリーマン時代、結構な人が自分の会社の売上があがる仕組みを理解していないことに驚きました。お金が降ってわいてくるわけが無いのに、自分の給与の源泉にさしたる関心が無いものかと不思議に思ったものです。自分が存在する組織の成り立ち・競争原理も理解していないにも関わらず、会社の不平不満を言うだけとはトンデモナイ。
前職は「人月」という単位で売上を立てておりましたが、入社して人月単価なるものがあると知った時、自分の売価と自分が手にする給料のあいだには何があるのだろうか、と疑問に思ったものです。自分の給与の数字は売上から「何か」を天引きされている数字です。それを知る為には、ご自分の会社の大きな仕事の流れを理解しなければなりません。そうすると、どこに付加価値があるのか、競争優位性があるのか、というのも見えてくるようになります。
弊社は物売りの会社です。物売りの会社は大きく言えば「受注⇒出荷⇒納入⇒請求⇒入金」がマクロの流れです。これに受発注管理、債権管理、在庫管理、商品管理、顧客管理等が付随したりしなかったりします。ここで大変に重要なのは「⇒」の部分です。頂いたご注文がカタチを変えて流れてゆくのがポイントで、最初は見積もりだったものがご発注になり、納品物になりご請求になります。業務(アクティビティ)の中ですべきことと、ビジネスプロセス全体としてすべきこと。この複眼的視点が業務システムの設計には欠かせない観点だと思っています。その切り分けがちゃんとできると、欲しい時に欲しい情報が欲しいカタチで縦横無尽に入手できるようになります。逆に申し上げれば、この観点を欠落したシステムはどこまでいっても部分最適でしかありません。
多くの会社様はこの「⇒」の部分で情報が分断されています。弊社のような中小企業でも、日本を代表する大企業様でも同様です。
情報が分断されると何が起こるかと申し上げますと、端的にはその溝を人間がカバーします。臭いものにはふたをするマンパワーが必要になるのです。その疲弊たるや結構なもの、でございます。紙媒体であったりExcelであったりHULFTでファイル連携であったり、と。それもそのはずで、販売管理業務全てを一括して管理できる製品など皆無でありますし、初めから全ての業務を俯瞰して業務システムを作ることなど夢物語と言って過言ではありません。
また、たとえ弊社がネットで注文頂ければ入金確認まで全ての業務が完遂できるシステムを作ったとしても、注文票にマルをつけてくださったFAX1枚をお断りできる理由はなかなか見つからないのです。ビジネスプロセス全体を意識すればするほど、お取引様からの情報媒体を如何に統一性をもたせるかが、肝になります。インターフェイスのミスマッチが情報の分断を生み出してしまう主因になるからです。紙媒体は出力するのは大変ラクですが、それを入力するのはちと辛い・・・。
しかしながら、こちらのほうは大まかな完成図が見えております。私がこの会社にカネが生まれる仕組みを理解しているからです。同時にここでしくじると赤になる、ということも理解しております。富士山の五合目がやっと見える1合目地点に今の私があるが故に結構な時間がかかると思いますが、必ずや素晴らしいシステムが出来るはずです。これにより弊社の生産性の向上やコスト削減は相当なものになることが見えていており、前途洋々とはこのことでございます。
内製をやってみてつくづく思うのは、部分最適じゃ何の意味も無いことです。弊社のような中小企業が外部にオファーしたら数千万の見積もりがやってくるだろう規模のものを作らない限り、結局の所メリットとデメリットが別の形で現れるだけで業務の最適化なるものは難しいまま。しかも僕は1人しかいないので、マクロのビジネスプロセスを「きちんとつなぐ」ことが出来るようにならなければ、全部僕に跳ね返ってくる。僕自身が非生産的な業務に追われてしまう。システムを作ることは描いた未来をカタチに変えることにあると思いますが、なかなかその未来ってものが流動的です。
こういった業務システムはビジネスルールの枠を超えることはないので、「ルールの複雑性と状態遷移の複雑性をどのような業務設計にてクリアするのか」というのが一番必要な視点なのかなと思います。数百万PVをさばけるぜーっていう仕組みは、多くの会社の中のシステムでは要らない。BtoCのシステムとは複雑性を要求される部分がちょっと異なるのかな、と。良し悪しはあるでしょうが、業務システムのほうが性に合うかなって方は、せめて自社のビジネスプロセスがどのように回っているのかについては理解されたほうがよろしいかと思います。
10月中頃から冬物を大量に出荷する&社員が風邪で休みがちだった関係上、僕が現場の営業さんのかわりに受注〜請求までの流れを実際に体験してみたのですが、システム上で「あれができたらいいのに」というボロがでるでる・・・。元々「そういう想定はしていない」わけですが、進化を諦めた内製回帰などクソの役にも立たない為、まさに現場の業務経験がそのまま「こやし」となっているところでございます。