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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

沖縄・浦添市の内製回帰事例から学べること

内製回帰厨としては嬉しい事例が発表されていた。

ここまで思い切って内製に舵を切った事例はなかなか少ない。記者の眼 - 見積もり2億円のIP電話を820万円で構築した秋田県大館市から学べること:ITproという事例もあり、全国の行政機関で内製回帰事例が増えているのは喜ばしいことだと思います。

内製回帰事例を見ていて思うのは、自分たちでシステムを組んでいるが故に「内製」と「外注」の判断軸がとても明確になっていること。つまり、自分たちの業務を棚卸して、改善・再設計をじっくり行った上でシステム化するポイントがブレることなく抑えられている。何は無くとも、業務の棚卸がとても重要。

余計な手続きが減ればシステムはそれだけ安くなる。「なぜ、ここでその作業が必要か」。コンサルタント会社の社員が市の職員の後ろにはりつき、一つひとつの作業の効率化を目指した。

たとえば小、中学生の保護者への就学援助。申請から通知までに必要だった20もの作業を、わずか二つに減らせることがわかった。

asahi.com(朝日新聞社):ITシステム、市職員が作る 沖縄・浦添市、コスト削減 - 経済を読む - ビジネス・経済

内製する前は自分たちの業務とそれを手助けするシステムがどのように紐づいているかを明確に知っている人は、実はほとんどいなかったんだと思います。20の作業を2つに減らせたということは、それだけ重複する業務を縦割りで行っていたということに他なりません。棚卸をして再度「この業務をこのシステムで行うためには何が担保されてなくてはならないのか」という再整理ができたんでしょう。IT担当の方と実際に使われる方のあいだでも活発なコミュニケーションがあったことと思います。

ここまで劇的な例はあまり聞かないけれど、自分たちの業務を鳥瞰する地図がなければ、目指す場所も見えてこない。地道で堅実なFit&Gap分析があってこその事例だと思います。

また、この記述もとてもアツい。

浦添市も以前は大手メーカーのシステムを使っていた。その時はIT予算の9割をシステムの維持に費やし、新しいサービスを開発する余地はなかった。しかし新システム導入後、様変わりした。

asahi.com(朝日新聞社):ITシステム、市職員が作る 沖縄・浦添市、コスト削減 - 経済を読む - ビジネス・経済

ここが内製の大きなメリットだと思います。

ブラックボックスなままに維持・運用を外に出してしまうと、いろんなお金が上乗せされます。リスク回避の予算を多く積まねばならなくなりがちで、それだけで予算も人員も余裕が無くなってしまう。しかし、内製するとどこに手を入れるべきか明確になるので外注費の多くを削減、つまり、運用コストが劇的に下がることを示唆してくれている。浮いたコストを進化の為の予算に回せることができるようになり、一度回ればそのサイクルが継続的に続いてゆく。

進化をあきらめて、保守だ、安全性などという話は全くありえない。

改めてそう思った次第です。