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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

立場を学ぶということ

僕の近しい人が富山和彦さんの講演がすごくよかったとしみじみと言っていたので、googleして富山和彦さんの記事を色々と読んでみた。とても多くの示唆があったのですが、一番感じたのは「立場を学ぶことがいかに大切か」ということでした。

以前、僕は28才のリアル〜スーツとギークのあいだを彷徨う〜というエントリを書きました。これは、僕がSIerプログラマとして働いた時に感じた葛藤を素直に言葉に落としたものです。その当時の僕には、1つ大きな不安がありました。

技術というのは恐ろしいもので、「うわー、すごいじゃん。こんなこと出来るようになったんだ」から「もうそれぐらい誰でも使ってるよね」に変換されてしまう。
28才のリアル〜スーツとギークのあいだを彷徨う〜

これがとても不安だったことを覚えている。自分の価値ってどこにあるのだろう、と空恐ろしくなった。

専門性を追求しそれを武器にして生きることは否定しないし、誰しもが得意分野を持つのだけれど、ひたすら同質の専門性を追い続けるようなキャリアの積み方で本当によいのだろうか、それはあたかもルームランナーで走っているようなものではないか、と不安になりました。僕にとってはやっていることが同質なので進化しているかどうか実感がもてず足踏み感があった。

僕は結構様々な部署を転々としておりまして、多分弊社の中でも最も色んな部署の方と仕事をしている部類に入ると思います。専門性の構築という面では明らかにマイナスですが、プラスになったことは情緒性が磨かれたことです。色んな立場の人と仕事を出来たことにより、「ああ、立場によって人は思考を左右されてしまうんだな」というのを肌で感じられた。

そういった人間心理に対する洞察を重ねていかなければ、どうしてこの仕事を今僕はやっているのか、どこに価値があるのかという視点が身につかないと思います。プログラマとして働いていきたいのならば、どうすれば自分がプログラマとしての価値を提供できる場所を構築できるのかを考えなければならない。僕のようなコンサルは言葉を武器にしていますので、どうしたら僕の話を好意的に聞いてもらえるのかを考えます。その視点をもてたことが、いわゆるスーツになって良かったと思う最大のポイントです。まだまだ修行中です。

蛇足ですが、僕は大企業と中小企業のどっちに行くか迷っている人がいたら、大企業を薦めます。中小企業は経営者と心中する可能性が高いので腰を据えたキャリア形成が出来ない恐れがある。小さな会社は何にもない会社が多いですが、大きな会社は会社を回すための仕組みがあります。それを学んでおくのは絶対プラス。

また、小さい会社に行ったとしても取引する相手は大きな会社だったりするわけなので、大企業の組織論理・行動様式・社内文化・様々なルール・・・そういったものがなぜあるのか、組織の中にいる人はどういう行動心理で動くのか。そういったことを考えられるヒントは、大きな会社なら色んな所にあります。一つ注意したいのは、社風の合う・合わないは会社規模と関係ない点。合わないなと思ったら逃げることです。

そういった人間的視点に立って会社組織を見直すことも、大切だと思います。

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