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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

【書評】インターネットのカタチ

Geekなぺーじ:[インターネット技術メモ]のあきみちさんから献本御礼。

インターネットのカタチ―もろさが織り成す粘り強い世界―

インターネットのカタチ―もろさが織り成す粘り強い世界―

この本の一番の特徴は、実際世界のインターネットで起こった事件を題材に、その背景を追いかけながら解説していくことで、インターネットの世界観を伝えていくというアプローチです。この切り口を行うには、様々な海外の論文やサイトを参考にしたうえでそれらを整理し、情報は情報として正しく伝えていく必要があり、大変な苦労をされたと思います。社会情勢を踏まえながら読み解くことが出来るので、教科書的な部分は残しながらも「ほぅほぅ」と頭に入りやすくなっています。概念と現実のバランスがイイです。

実際にYoutubeが見れなくなった、エジプトがインターネットから離脱された・・・そのようなTopicをひとつ上の視点で解説して下さっており、インターネットの自浄性や抗性など、色んな発見があります。脆い部分を用意することで、脆いところにトラブルが起きた場合に脆さをカバーする「ネットワーク」の「ネットワーク」を自律的に確立していくのも、不思議と言えば不思議だし面白いです。

個人的にはAkamaiさんの話と中国のインターネット検閲の話、そしてAS間の経済的・政治的背景が特に面白かったです。もはやインターネットは経済インフラですからねぇ・・・。

この本は深く知りたいヒトのためにいちいち丁寧に参考文献の引用箇所を書いてくれています。正しい情報を正しく取得できるように、と。アカデミックな優しさ、とでも言いましょうか。そこにも本書のこだわりが見て取れます。

この本を読むのに推奨される知識は「IPアドレスってなに?」と「ルーターってなに?」の2つの質問に答えられることかなぁと思います。もちろん知らなくても読めるんですが、知っていた方が脳内に湧くイメージが濃くなるので、読中の味わいが増します。

僕は大学時代アルバイトでISPのテクニカルサポートをやっていたんですが、そーゆー方々に是非勧めたいです。当時は3 Minutes Networkingにお世話になりながら、pingとtracerouteコマンドを叩いてました。「pingの向こう側」を知りたい!と思ったときに、本書が助けになること間違いないです。また、情報系の学生さんもお勧めかな。この方々はこの本が実践的に感じられると思います。

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