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ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

【書評】業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革

幻冬舎メディアコンサルティングの佐藤様よりご恵贈頂きました。

業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革 (経営者新書 152)

業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革 (経営者新書 152)

本書は、青山システムコンサルティング株式会社さんという独立系のITコンサルティングファームの代表の方が中心となって書かれています。こんな本が出るってことは、やはりまだまだまだまだ中小企業のIT活用は未成熟なのでしょう。

業務プロセスの徹底的な洗い出しが9割

本書の主題は上記にあります。構成としては「IT活用でやってもうた」→「KSFはこれ」→「Tobeの描き方」→「運用のあり方」となっており、一番重要なのは第3章です。で、その表題が「業務プロセスの徹底的な洗い出しが9割」です。これには120%同意します。

業務の仕組み全体がシステム

「業務の仕組み全体がシステムである」という一文。非常に重要な意味を持ちます。ここが全く理解できない経営者は、絶対にIT活用で成功しません。

メール・Webサイト・Officeソフトと言う、ある業務を代行していくれるソフトの活用はいくらでも可能。が、「業務の仕組みがどうなっているのか」に着目していないIT活用は常に部分最適になります。仕事の能率が上がっているように見えますが別の所で不便が出るというケースが非常に多く、俯瞰して見ると微妙な感じになってしまうわけです。

システムを導入する目的は「ある担当者の業務効率を改善する」ことでは絶対ダメです。システムを導入するのであれば、「会社全体としての業務効率を向上させる」ことが大前提で、そのシステムによって会社がより優れたサービスを顧客に提供することが可能にならなければならない。もうちょっと簡単にいえば、システムを利用するすべての立場の人にとってメリットがなければなりません。

優れたサービスの骨子となるのは、タイムリーな情報提供なのか、納期短縮なのか、商材拡大なのか。それはわかりませんが、売上の拡大に繋がる施策を打てるようにするための仕組みを作って、その中に流れる情報を定義し、設計し、管理できるようにする。それが出来ないと使えないコンピュータになってしまいまして、それを防ぐために必要なのが「業務プロセスの徹底的な洗い出し」というわけです。

恐らく、青山システムコンサルティングさんでも、上記のような残念なミスマッチがたくさんあったんじゃないでしょうか。心中お察し申し上げます。

本書では在庫管理を例に、現場の業務とシステム機能のミスマッチを幾つか挙げています。この在庫って単語もやっかいで、一語多義的です。複数の意味が含まれています。最低この4つの意味があります。

実棚 今、そこにある商品の数量そのもの
取置在庫 実棚の内、予約が付いていて勝手に使えないもの
フリー在庫 実棚から取り置きを引いたもの
バックオーダー 再生産中の商品における予約数

「在庫、ある?」と言ってるのは、フリー在庫なのか取置在庫なのかバックオーダーの残りの在庫なのか、これによって管理する情報が全く変わってきます。倉庫が複数ある場合は、A倉庫の在庫なのかB倉庫の在庫なのかでも、話が違ってきます。ネットショップ用の在庫なのか、実店舗や卸業者の在庫なのかでも話は変わります。

・・・このように、みなさんが何気なく使っている言葉にプロは鋭くツッコミを入れ、「一体どの情報を元にどんな意思決定をして、業務サイクルを回しているのか」をチェックしています。

最大の課題は人材不足

本書でも、中小企業のIT活用にとって最も頭の痛い問題が「ITの専門家が社内にいない」ことだと書いてあります。ここで言っているITの専門家と言うのは、最低限のアプリケーションを自分で作ることのできる人材だと僕は考えています。そのスキルがあって、上記のような業務設計ができる人材のことを専門家と呼ぶにふさわしいのですが、現状では太平洋に落ちたダイヤモンドを探すぐらい難しいようです。

この人材不足については「顧問エンジニア」という新しいロールを担う人材で少しは解決できるんじゃないかと淡い期待を抱いており、現在資料に落としている所です。概要を知りたい方は、僕のサブブログの下記記事を御覧ください。

aroundthedistance.hatenadiary.jp

なお、僕も業務システム導入・ITコンサルティングのご依頼は受け付けておりますので、お気軽に右下のお問い合わせウィジェットからお問い合わせ下さい。

堅実な成果を良しとする一冊

本書は奇をてらうわけでもなく、「御社がダメな理由」的な上から目線もなく、ある意味淡々とITシステムへの取り組み方が書かれています。ITシステムの効果を疑い始めたら、まずは本書を読んで大まかな背景を掴んで頂くのが良いでしょう。経営者の方のみならず、「なんでこんなシステムで仕事せなあかんねん」とお嘆きのご担当者様にも示唆に富んだ一冊になっています。

業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革 (経営者新書 152)

業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革 (経営者新書 152)