GoTheDistance

ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

ブログで生計を立てるのは、ハイリスク・ローリターンな人生戦略

ブログが右肩上がりに儲かってるのでブログ飯やる宣言→2日後に検索順位が急降下して無事死亡したハートフルストーリーを見て、ほっこりしました。

www.airdays.net

よかったですね。撤退できる状況で撤退できて。撤退するタイミングや状況を逸したら死亡フラグがこんにちは。Google先生の粋な計らいです。

個人がブログでお金を稼ぐのは公序良俗に反しない範囲で好きなだけされたら良いと思いますが、ブログで生計を立てることには懐疑的です。冷静に考えると、リスクに見合ったリターンが得られない可能性がとても高いからです。

そう考えている根拠をいくつか上げます。また、これらのリスクをどう管理したら生きていけるものなのかも、興味があります。

Google牧場の小作人でしかない

検索順位を上げるという収穫を得るために、ブログ畑をせっせと耕す。その手間暇をかけても儲かるかどうかはお天道様次第って、個人的には怖くて付き合っていけない。Google牧場の小作人でしかない。小作人として上手く立ち回る練習を積んでも、下記のような敗戦処理を強いられるリスクは少なくない。

www.hironorisatomoto.jp

生計を立てるなら、必ず儲からなければなりません。 かけた手間に対して定期的に収入が得られなければ、絶対に続かないですよ。ブログに賭けるより先に、別の手段で定期的に収入を得る事を考えるほうが生産的なように思えます。PVに依拠しないで稼ぐためには、法人組織と取引するしか無いでしょうし。

収益化につながるノウハウをお持ちの方は沢山おられるのでしょうけど、テクニックの延長線に過ぎないとしたらオワコンの始まりですよね。旬が短い流行りものについていかねばならない割に儲からないとしたら、人生戦略を形成する事業として考えるとかなり微妙です。

こんな感じで、Google先生は日々アップデートをされておられるようなので。

www.kk3marketer.com

潰しが効かない

ブログを運営して個人で収入を得たとして、その能力を必要とする企業組織がどれだけいるのか。そこを考えると怖くなります。職能のないブロガーは、全く潰しが効かない。

ブログは誰でも書けるし、書きまくっても何かの問題解決につながる専門的能力が身につくわけでもない。ブログを運営して稼いでいます!というのは能力ではあったとしても、職能じゃない。能力(Ability)と職能(Skill)の違いについて、考えて欲しいです。金を出す価値があるのは職能だけ。英語が得意な方は、英英辞典を引いて下さい。克明に違いがわかります。

ライティング能力があがる? 全然ない。その点は、Hagex氏のブログをたくさん書いても文章は上手くならない - Hagex-day info に詳しい。文章力を上げるには、良い読み手であることが一番先。書くことじゃなく、読み解けることが先。これを勘違いしてる人が多い。読解力がない人間の書く文章は、企業媒体から依頼が来てお金が取れるものにはなりません。そもそも、文章力と報酬額は比例しません。

個人は個人でしかありません。個人の時代キタコレみたいな話、2005年頃のWeb2.0が持て囃された時からありますからね... 今こそWeb2.0関連の本を読むと学びがあるのでは。

C to C モデルでしか食っていけない

企業組織に相手にされない個人が稼ぐには、個人を相手にするしか無い。個人と個人が取引をするモデルです。

C to C は、事業運営の基盤としては非常に脆弱です。個人でやれる範囲のことしか出来ないので、解決できる課題に限りがあります。その結果、伸びしろが薄くなるのでスキルを切り売りして行き詰まる。顧客が個人なので単価は法人相手に比べて非常に低いので、頭数を集めるしかない。集まっても300人ぐらい? 1000円/月で年間で360万。やっす…

ブログ運営ノウハウ的なものって、ほとんどマネーの話に帰結しています。ブログが欲しいわけでなくブログを運営してお金が欲しい人が大半です。そういう狙いを持っている人が最も集まりやすいけど、お金だけを目的とした事業は長続きしません。価値を生み出せないからです。

ゴールドラッシュでツルハシを売れという話は有名ですが、ツルハシを買った人の大半はどうなりました?

HTMLの画面キャプチャを信じるな

話はそれますが、アフィリエイト好調アピールをするやり方として、ASPなりの管理画面を見せてエビデンスとする方式が散見されます。下記が一例です。とある方のツイートを抜粋し、個人批判をする気はないのでマスクさせて頂きました。

f:id:gothedistance:20170321170359j:plain

上記のようなHTMLの画面キャプチャはいくらでも偽装できます。

HTMLを使ったスクリーンキャプチャがいくらでも偽装可能だってことは、インターネットリテラシーとして知っておくと良いかもしれません。下記は当社のトップページをFirefoxを使って偽装する動画です。誰でも出来ます。

youtu.be

管理画面のようにログイン前提の画面だと、真偽を見極めるのは困難なのでとても質が悪い。昨今のブラウザはこういうツールが標準装備されているので、HTMLの画面キャプチャはエビデンスとして機能しないと考えて良いでしょう。

Hoping for the BEST, but preparing the WORST.

僕の周りでも、ブログを上手く活用されて生計を立てているプロがいます。でも、片手で数えるほどしかいません。

生計を立てられる以前に企業組織で相当な下積みを積まれていたり、会社員時代に何年も併用しつつフェールセーフとなるポイントを見極めて独立されたりと、堅実に地に足を着けてステップアップされ、舵を切っています。

僕が好きな言葉に「最高の状態を望みなさい、でも、最悪の事態に備えなさい」という言葉があります。後者があるから前者を考えることが出来ます。最高の状態ばかりを見ていると感情が思いっきり入るので、多かれ少なかれ道を踏み外します。

ブログで食う夢に食われて人生を食いつぶされることがないようにね。

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