id:dropdbさんの所で「お金ありきか。」というエントリが書かれています。
企画屋のはしくれですので参考になればいいなと思い、ひとこと言っておきます。
経験上感じるのが、技術を担いで商売している会社においては、「こういう技術を使えばこんな面白いもんが出来るんだっていうアツさ」から企画の背骨ができて来るのが多いことです。まずはそういうアツさを共有できるようなディスカッションの場を持つことをお勧めします。これはコンサルタントをやっていて痛感するのですが、ディスカッションは議題によって狂おしく相手を選びます。特にWHATそのものを考えるディスカッションをするのであれば、ディスカッション・パートナーの発掘が何よりも大切です。彼女がディレクター的な立場なら、まず考えなければならないのはここだと思います。
技術無くしては何も生まれはしないのですが、技術目線で帰結してもまた何も生まれません。技術的に面白いアイディアを否定することはありませんが、一番重要な「なぜ、この技術を使わなければならないのか」を説明することが困難です。結局、「プロダクトアウト」か「マーケットイン」かというDISりあいが始まるのが典型的な終わり方だと思います。
企画というのは相反する概念を全く別のストーリーで内包して新たなベクトルを示すことが、とても重要です。「プロダクトアウト」も「マーケットイン」も、どっちも考慮しなければならないに決まっています。どっちに偏るわけでもなく、どっちも満足させないといけない。その間を埋めるのではなくて、その間についてそもそも議論しても意味がないような状態を作るんです。
その状態を作るためには、ユーザーの行動をどう変化させていくのか、その結果どういうことが実現できて今までなかったどんな価値が生まれるのか、そういった議論をするのが一番よいのでは、と思います。そこから先は、予算の許す限りもうなんか作っちゃえばって思います。だってわかんないじゃん。実際使ってみないことには。
お金ありきでも技術ありきでもなく、ユーザー経験ありきの視点で考えていくのがベストだと思います。