っていうエントリを、「Web2.0」の提唱者であるティム・オライリーさんが書いていたので和訳してみた。示唆に富んでいる。所々簡便化して意訳してあります。原文はWhy I Love Twitterです。
もし僕が考えていることに興味があるなら、Twitterが僕が何に興味を持っているかを知るのに最良の方法であることをおわかりだと思う。僕はオライリーニュースの情報や、メーリングリストや僕がフォローしているブログからの興味を引く見解や、そしてもちろん、僕がフォローしているTwitterersの情報を伝えている。これら全ては僕がブログに書く時間がないからなんだけど、オライリー内部の編集者、カンファレンスのプランナーやリサーチャーにEメールでFirefose*1を使って展開している。僕の仕事の多くは、いつも僕らが言っているように、"未来を再分配"にある−興味がある人々をフォローし、他の人たちに僕が学んだことを伝えること。そして、Twitterはこういったことをやるのには最高のツールだ。
多くの人たちと同様に、僕も早くからTwitterにトライしたけれど続かなかった。初期のTwitter上の会話の殆どが個人的なもので、僕はそれに費やす時間をもてなかった。僕が戻ってきたのは、ほとんど続かないTwitter上の更新を待ってくれている約5000人の人たちに気づいてからだ。彼らは、僕が何かを言ってくれるのを待ってくれている。この多くのリスナーに、僕は感謝すべきだと考えた。(今では16000人になろうとしている)*2 すぐに、僕はTwitterが重要なビジネスツール、−最新のニュースを理解するのに理想的で、テクノロジーの未来を形成していくであろう人たちの考えや居場所を追跡したり、僕自身の考えや興味関心の動向を共有する−、になるまでに成長していることに気がついた。
他のインターネット上のサービスに模倣されるべき設計上の特性についての提案と共に、僕が見出したTwitterがとても人を引き付けるいくつかのことにについて、概略を書いておくべきだと思う。
1. Twitterはシンプルだ。Twitterはたったひとつの小さなことしかやらないけど、それがうまく行っている。Robert Scoble*3のような人々がFriendfeedの賛美を歌い上げれば、あなたが「Twitter++」と考えることもありうるだろう。結局、複数のサービスからコメントやデータ集合を得ることになるのだ。*4しかし、こういった強力な前提があっても、FriendfeedはTwitterの成長を弱めることは無い。個人的には、僕はそのコメント群をかき分けていく時間は無いけど。僕にとっては、Twitterは短期的に成果が出るものであり、幅の広い議論ではないと思っている。そして僕はサービス・アグリゲーションの展望にほれ込んでいるけれど、コメントをすることでサービスを結合しようとするのはそれらのポテンシャルを損なう傾向にあると考えがちだ。より少ないことで、より多くのことを為す。peoplebrowsrのような新しいサービスはよりリッチ、ソーシャルグラフ*5閲覧しあなたがフォローしている人たちのこともっと学ぶやり方で、サービス・アグリゲーションを見直そうとしている。(Peoplebrowsrはまだアルファ版だけど、僕はさらにもう1つの人間のフィードを読むものよりソーシャルグラフエクスプローラーとして本当に可能性を秘めていると思っている。)
2. Twitterはその人がやりたいように機能してくれる。もし誰かに興味を持てば、彼らに許可を尋ねる必要なくフォローできる。友達になりませんかと聞く必要も無い。そういったことはゆっくり時間をかけて自然に発生している。もし、あなたが僕のような良く知られた人ならば、「互いの友人関係」といった比喩は本当に崩壊している。僕は自分の知らない人たちから何万ものフレンド申請をもらっている。それを許容したら、僕からしたらリアルの友人と連絡を保つソーシャルツールとして使うことが不可能になる。フレンドグループも何の役にも立たない。
Twitterの聡明なソーシャル設計の意味する所は、誰もが自分をフォローすることができ、そして僕は誰でもフォローすることができることにある。(彼らが自分の更新をプライベートに保っておきたい場合を除いて) 何度もコンタクトを取り合うことで徐々に、僕らは友達になっていく。互いの集団*6によってフォローされた人達にしか見えない@つきの返答は、一種の自然発生的な社会的集団体*7が構築され、僕の友人がすでに知っている新しい人達について段々と可視化できればできるほど、同様に社会的集団も拡張的になる。その一方で、本当にプライベートなDirect Messageもサポートされている。
誰が始めに「自分をとりまく周囲の親密さ」という言葉を使ったのかは分からないけど、これはTwitterに起こり始めていることを非常によい説明になっている。僕はその人達が何を考えたり読んでいるかは分からないが僕らの関係が深まっていくことで、何をやっているかは十分に分かる。あたかも現実世界の友人関係のように。Twitterで僕をフォローしている人達は、僕がジャムやパイを作ったり、ガーデニングをしたり、バイクに乗ったり馬に餌をやったりといった、ブログでは決して(ごくまれに書くこともあるけど)共有していないことを知ることになる。多くの私の専門家集団のコンタクトが友達になっていくことで、もっと多くのことを知ることができる。プライベートでリアルの友達による限られた集団だけでしか更新を見ることができない僕の家族の場でも、私達は多くのことを得ることができるちょっとしたやり方で、関係を保つことができている。僕は他の誰とも共有することはない私の妻や娘の1日の出来事という特別な時間を持っている。本当に愛らしいことだ。
3. Twitterは他の人達とうまくやってくれる。Twitterの機能を用いてTwitterのデータを読み込むよりも、それら他者に任せて範囲を拡大していく。何十もの強力なサードパーティのAPIプログラムや、何百ものアドオンサイトやツールがある。TwitterはFriendFeedやFacebookのような競争相手にさえも、自身のコンテンツを彼らのサービスにすすりあげようとさせる。だがそういったサービスが強くなる代わりに、Twitterも強くなっているようだ。(ScobleはFacabookにおける友人の更新の60%以上が実際Twitterから来たものであることに最近気づいた。John Battelleが最近のTweetで以下のように言及している。「僕は自分のFaceBookのステータスをTwitterで更新し、その返信をFacebookで得ている。だけどここで(Twitterで)見たいものだ。」 FacebookにとってTwitterに自身のステータスフィードを更新することを許しているのは強みに見えるかもしれないが、他の方法が見当たらないのならば、Facebookはいつの日かTwitterに支配されたことに気がつくのではないかと思っている。)
4. Twitterはウェブを超越する。今日の主要なインターネットサービス全てがそうであるように、Twitterは携帯電話も得意としている。PC上でも、私は違ったリッチで代替可能なクライアント(Adobe AIR製のTwhirl)を使っている。
5.Twitterはユーザー自身で拡張できる。ユーザー間で言及しあう@記法、ハッシュタグ*8そして、金融商品について言及するための特別な記号として「$」の使用を求めることはなんだって、*9TwitterのサードパーティのサービスにAPIを重ねるのではなくコンテンツを重ねていく簡潔性によるユーザー発祥のイノベーションなのだ。
6. Twitterは急速に進化する。恐らくTwitterの機能があまりに最小限なので、新しいユーザーの行動は本当に急速にTwitterの各地で広まっているように見える。ミバエが遺伝に関する調査に使われている理由にちょっと似ている。短い寿命は突然変異のための時間を圧縮して確立するってこと。もしかしたら、更に良い例えは人類の文化的な進化の速度と生物学的な進化の速度との比較にあるかもしれない。Twitterで起っている最も魅力的な進化はソフトウェアの進化ではなく、ユーザーの行動の進化、そしてそこで共有されているデータの種類の進化である。
Twitter自身ではなく私が使っているTwitterクライアント「Twhirl」によって拾い上げた行動、retweeting*10している自分自身によって、こういったことがわかってきた。なぜなら、Twhirlは「retweeting」用のボタンが実際にあり、それを行うことはこの世界でもっとも自然なことのように思える。自分が知っている人よりも非常に多くのFollowerがいること、そして彼らのポストした最良のものを伝えるための優れたやり方だろうということがわかり、僕は最も多産なretweeterの一人になった。しかし、twhirlを使っていない人達によってretweetingの成長が見えることは魅力的なことだ。
様々な視点から考えてみると、Twitterは簡潔で協調するツールという古きUnixの哲学の再顕現ではないか。Twitterの本質はそれらの制約条件、つまりTwitterではできないことであり、そして、核となるサービスは特有のインターフェイスに縛られないやり方を取るということである。
長続きするプラットフォームになることへの問題の多くは、こういった同質の特徴を持っていることが私の心を打った。TelnetやFTPのような古きTCP/IPベースのアプリケーションがもう殆ど使われていないが、TCP/IP自身はユビキタスである。誰ももうこれ以上メールプログラムを使おうとしないが、私達はみなまだメールを使っている。誰もTim-Berners-LeeのオリジナルのWebサーバとブラウザを使おうとしない。両方とも彼の核となるイノベーション、httpとhtmlといった独立したプログラムによって取って代わっている。*11
何が違うかといえば、もちろん、Twitterはただのプロトコルではないことだ。Twitterはデータベースでもある。そして、Web2.0の古き極意である「DataはIntel Inside」だ。これはデータがインターフェイスによって制御されることを意味している。Twitter上に多くのほかの人ができればできるほど、Twitterのポジションはますます良いものになっていく。
TwitterのようなほかのサービスにFacebookが自身のソーシャルグラフにアクセスすることを許すことについての本当の教訓がここにある。Facebookは最高のソーシャルグラフをもっているけれども、自身のインターフェイスにユーザーを取り戻し続けようとしており、彼らのサービス上で作られたアプリケーションはFacebookの中で生きていかねばならないが故に、彼らは本当のインターネットサービスよりもむしろ最後にはスラム街に行き着く。重要なのはデータであって、インターフェイスではない!他人にあなたのデータを使わせて、それを足場とさせても、データは今もなおあなたのものである。あまりに厳しくすると、データと争いをすることになるだろう。
もっと言いたいことはあるが、天気の良い土曜日なのでビーチが僕を呼んでいるようだ。
*1:どうやらFeed配信サービスらしい
*2:obligeが自動詞として使われているのに困惑気味
*3:ウン万人の人にFollowされている、有名なIT分野のジャーナリスト
*4:ブクマのFeedを流すとかが典型例かな?
*5:そのユーザーの人間関係の相関図のこと
*6:Following/Followersのことだと思う
*8:なんのことだろう?
*9:stocktwits.comというサイトがあるので、そのことらしい。What are you trading?だって。
*10:TwitterでTumblrのリブログを実現する機能のことらしい。
*11:ここでは良いものが悪いものに取って代わるという意味の、supersedeという言葉を使っている。