GoTheDistance

ござ先輩と言われています。(株) クオリティスタートという会社をやっています。

起業に向いている人の特徴を1つだけあげるとすれば「ストイック」な人

cild.hatenablog.com

この記事に賛同してしまうような人が最も起業に向いていないなぁ...。イケハヤの劣化コピーかと思うぐらい適当なことしか書いていない。

職場の空気すら読めないのにどうやって商談の空気を掴んでいくんだって思うけど、大丈夫かな。自分でやった方が早いと思っちゃう人は、作業と仕事の区別がついてないので起業に向いていない。仕事が目の前にあればあるだけやってしまう人は、自分がボトルネックで取引先に迷惑をかけるし、無駄に消耗戦を戦って安く買い叩かれるので、起業に向いていない。休日にゴロゴロすることも出来ないぐらい逼迫してるなら、やってても楽しくないのでキチッと休めるサラリーマンの方が良い。まだまだ書けるけど、バカらしいや。

こんな調子で書いてしまうとアレなので、僕がこれだけは間違いないなと思う「起業に向いている人の特徴」を1つあげます。ストイックな人です。複合的な言葉になってしまうのですが、要はこんな特徴がある人です。

1つ目は、「自分で決めた目標や基準を、自分の勝手な判断で取り下げない」ことです。今日はこの作業までを終わらせると決めたら、それを明日に持ち込まないこと。割り込みが入ろうが関係ない。サービス残業も関係ない。自分がそこまでやると決めたら、完璧でもなくてもいいからまず終わらせる。区切りをつけて前に進む。

僕もそうですけど零細企業の社長は雑用も多くなるので、仕掛りの作業って増える一方。起業したら割り込みもサービス残業もない。代わりはいない。終わらせないと積み重ねることも出来ない。ここで脱落する人、すごく多いと思います。請けたけど納品バックレなんてよくある話なので。

2つ目は、「これが今のベストなのかと、常に問う姿勢があること」です。そこには2つの側面があって、ひとつは自分たちの仕事のやり方はこれでいいのかという点と、もう一つはこの顧客に納品する成果物はこれがベストなのかという点です。仕事のやり方に課題がないなんてことはあり得ないし、(色々すっとばすけど)これが出来たらベストっていうのが見定められないと迷走します。

もう1つの顧客の観点で言えば「お客さんがこういったから」という鵜呑みにしているのがマズいです。お客さんが欲しいからこういうのを提案 or 納品しますでは、バカの一つ覚えにしかならない。要望と要件は違います。僕のようなIT系は不定形な成果物を商品にしているので、特にそれを感じます。ベストを考えていくと、より鮮明に成果物の内容が見えてくる。やる意味が無いから辞めようと良い意味で撤退することも出来ます。仕事は選ぶものです。

3つ目は「一人の時間を持て余さないでいられること」です。僕も修行中ですが、起業したらどれだけ自分を見直すことが出来るかがすごく大切だと感じています。自分の判断や価値観によって、事業を行う方向性が大きく左右されるからです。なので、ひとりの時間をじっくりと考え事に当てて考え続ける必要があります。とても憂鬱な行いですけれど。

社長になっちゃたら、上手くいかないことは自分に原因を求めるしか無くなります。あいつが悪いとか取引先がクソとか時代が悪いとか言っても、どうしようもない。事業が立ち上がらない/回らない理由を外に求めても、各々の立場があるので自分には合わせてくれません。自分たちが変わるしかない。だから会社は倒産するわけですので。前職では、毎月のように管財人の弁護士からFAXが会社に来ていたなぁ。

魚は頭から腐ります。頭から腐らないように、瞑想と運動と野菜を摂取して心身をヘルシーに保つ必要があると著名な先生は口を酸っぱくして警鐘を鳴らしております。

おあとでよろしいようで。

【書評】虹を待つ彼女 〜AIが織り成す心の螺旋階段を駆け下りていくミステリー〜

友人が横溝正史ミステリ大賞を受賞されまして、その処女作を読了したので感想を書きます。ネタバレしないから大丈夫です。

虹を待つ彼女

虹を待つ彼女

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あらすじ

舞台は渋谷のスクランブル交差点から始まります。カルト的人気を博した女性ゲームクリエイター水科晴は重度の病に侵されていました。その彼女が選んだ最期は、自身が作り上げたオンラインゲームの標的となること。ゲームに登場したゾンビは、水科晴自身。ゲーマーの操作するドローンは本当の銃を詰んだ渋谷のスクランブル交差点の上を飛んでいるドローン。そして、彼女は銃撃されて死を遂げます。

ソフトウエアのプログラマーである工藤は、「フリクト」という人工知能のサービスを開発者。人工知能という制御できないプログラムをプログラムすることに技術者として面白さを感じていたが、フリクト自身は完成されており(色んな理由で)ユーザーが少しづつ離れていった。そんな時、人工知能の別の可能性として「死者を人工知能として蘇らせる」というプロジェクトの発足が決定する。その試作品の対象に選ばれたのは、水科晴。

工藤は水科晴の人工知能を完成させるべく、水科晴の調査を開始する。彼女が衝撃的な死を選んだ理由、断片的なエピソード、開発したゲーム、彼女を知る人物。それらを追っていく中で晴への渇望を抑えきれなくなる工藤の前に「晴の調査を辞めないと殺す」という脅迫者が現れ…

こんな感じのあらすじです。

人工知能の社会性

このミステリーを読む中で考えたのは「人工知能の持つ可能性と社会性」でした。死者を人工知能で蘇らせるというアイデアは近未来的にあり得ますし、短期的には恋愛シミュレーションも作ることが出来る。自律する学習回路があるコンピュータの持つ可能性の大きさと、その可能性が諸刃の剣にならないための社会性。社会のインフラとなり得るために守らなくてはならない制約と言うか秩序というか、そういうものをどう設計したら良いのか。そういったことを頭に巡らせながら読むとより一層楽しめます。

工藤と晴

この二人の思いが交錯する所が本書の面白い所なので多くは語れませんが、うまいなあと思ったのは展開はミステリアスなんですよ。進み方はとてもミステリアス。でも、エポックとなっている出来事は、じわっと感情が揺さぶられる。このバランス感覚が、次へ次へという期待を胸に読み進める力となっているように思います。僕は第一部だけで読んで、ちょっと置いてから一気読みしましたが、ラストの展開は完全に外しました!

虹を待つ彼女

カバーにも書いてあるんですが、この小説には「雨」という人物が登場します。水科”晴”と”雨”です。そして、タイトルには「虹」を待っている人物がいます。晴と雨と虹。僕が一番ぐっときたのは、この3者の関係性でした。皆さんも、晴と雨、そしてそれらが織り成す虹という自然現象の意味を頭に巡らせながら、ラストまで読み進めて欲しいです。完成度の高さに舌を巻くと思いますから。

ミステリー小説なんて西村京太郎しか読んだことがなく、森博嗣ですら完全スルーした僕ですが、ストーリーが良く練れていて面白かったです。この書評を30分で一気に書きあげることが出来ました。ミステリー小説に縁がない方も、是非お手にとってご覧頂けたら。

虹を待つ彼女

虹を待つ彼女

仕事の大半はルーチンワークで、楽しいのはごく一部だよ。

休学して起業すれば良かったのに。大卒という看板は一生自分についてくる。片道切符を掴む必要はなかったよね...。済んだことからしょうがないけど。

www.ishidanohanashi.com

レールの乗った人生というのが何を指しているかわからないけど、お仕事はルーチンワークというレールの上を進まねばならない。あなたが憧れている方も滅茶苦茶レールの上を歩いている。社長でもフリーランスでも会社員でもアルバイトでも、みんなに言えることですが、「仕事で楽しいのはごく一部で、大半はルーチンワーク」です。同じことを繰り返すのが仕事の大半。何かを継続することは、同じことを繰り返すこと。仕事を変えたいと思って行動しても、帰結する先はルーチンワークなんですよ。なので、こいつを楽しめなかったら無茶苦茶消耗します。

新卒フリーランスという謎の言葉が一時期バズってた。限りなくニートに近いけど言い方がファンキー。その親玉っぽい方はキャンピングカー生活をされているそうだが、今頃「楽しいことはごく一部」だと痛感しているかもしれない。ブログを書き続けるというルーチンワークから逃れられない。サロン運営もルーチンワーク。フリーランスとして時間を自由に使える所がマブしく見えるかもしれないけど、みんな会社員より働いている。ルーチンワークが会社員よりすごく増えるし、仕事を成立させて入金まで管理するのも大変だし。

ブログを書いて稼げます!というのは能力ではあるけど、職能ではない。「ブログを書く」を麻雀やパチンコに置換するとわかりやすいでしょう。職能は大きく言えば社会の問題解決に役立つ能力であって、それは事業運営をしている組織に属さないとまず身につかない。パチンコで稼げてもその能力を会社の事業に活かせない。なので雇う理由もおカネを払う理由も無い。僕はこんなことが出来るのに何故活用させてくれないんだわからないんだと消耗すると、高知への片道切符をつかんでしまうよ。(察し

仕事で成果を上げている人って、その大半のルーチンワークを陳腐化していないというか、必ず新しい変化や挑戦をどこかで盛り込んでいるように見える。そこがごく一部の楽しい部分のひとつ。プロは同じことを何度も繰り返して正解を常に生み出せるからプロなんだけど、その正解の質はどんどん変わらないと嘘なわけ。奥行きだったり密度だったり、色々さ。

どういう立場で仕事をするかは人それぞれだけど、ルーチンワークで多かれ少なかれ消耗します。起業したら会社員よりさらに消耗するポイントが増えます。そこで不貞腐れず続けて行こう。楽しいことが必ず見つかるはずだから。

「独習Python入門」というプログラミング本を出版します

「独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる!」というPythonでプログラミングを学べる入門書を出版します。皆さんご存知の小悪魔女子大生(現在はOL)サーバーエンジニア日記を書かれていた、aicoさんにイラストを頂戴しました。

8月5日、販売開始です。

8月5日、販売開始です。

大切なことでございますので、2回述べさせて頂きました。Amazonで予約受付を開始しています。詳しい目次や電子版の案内等があるので、版元の技評さんのサイトを貼っておきます。

gihyo.jp
Amazonはこちらです。

独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる!

独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる!

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本書を執筆したきっかけ

身内にプログラミングを教えてほしいと頼まれて、適当に入門書を買って読み合わせながらやっていたのですが、どうもうまく説明できませんでした。そのギャップを埋めるように補足資料を作っていたら段々面白くなっちゃって、結構な分量に。「ここまで来たら本にしたい」という欲が出たので、技評さんに持ち込んだら会議に通して頂いて書籍にすることができた、という経緯です。

本書の執筆で特に気をつけたこと

本書を書くにあたっては様々なプログラミングの入門書に目を通し、何人かのプログラミング未経験者にレビューを頂きました。また、実際にドラフト原稿でプログラミングを教えて実践形式でレビューを行っています。

スクリーンショットを細かく取る

サンプルプログラムを書籍に記載して「はい、実行してください」の一文で終わってしまうと、そこで脱落される方が相当おられるようです。その為、サンプルプログラムを実行する手順で迷わないことを最重要課題におき、スクリーンショットを細かく取っています。

本を1日で読み上げる人はそんなにいません。1章だけ読んで2章を読むのが2週間ぶり、なんてこともあるはずです。ブランクがあろうが書いてあるプログラムは確実に実行できないとまずいので、プログラムを実行する箇所には全てスクリーンショットを入れました。

また、初学者の最大の難関である「動かない理由が、エラーメッセージから判断ができない問題」についても細かく説明を入れています。

なぞるだけの本にしない

手順に沿ってやれば本に書いてある通りに出来たけど、用語や作業内容については説明が足りていないので「出来たけど、出来るようになった気がしない」という事態にはしたくなかった。

結論としては、こまめに練習問題を入れて徐々に高度な事ができるような形にするのが良いだろう、と思いまして、そういう形式にしました。

解説にメリハリをつける

メリハリとは、考えなくちゃいけない所とそうでない所を明確にしていることを意味します。「じっくり考えてほしい」と「そういうもんなんで頭の片隅に置いといて」というニュアンスを、可能な限りきっちり分けています。考えてもしょうがない所で悩み始めるとドツボにはまりますから、それを防ぐ狙いです。

最低限必要な文法を知って勉強して頂き、コードで書かれている内容をひとつのストーリーとして言葉で説明できないと、自分のやりたいことをプログラムに落とせません。場数がモノを言う所ですが、自分のやりたいことをプログラムで表現するのがプログラミングなので、表現するための手法や考え方をイメージできるよう腐心しています。

よろしくお願い致します!

著者がここまで細かく書籍の背景を書くことはあまりない気がしますが、背景が伝われば読者の理解を助ける一助になると感じたので、頑張って書きました。

電子版も出ます。技術評論社様の電子書籍の販売サイトではDRMフリーのPDFとEPUBが、そして大正義AmazonからはKindle本。準備にお時間が掛かりますので、今しばらくお待ち下さいませ。

8月5日、販売開始です。どうぞよろしくお願い致します。

gihyo.jp

独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる!

独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる!

株式会社 クオリティスタートを設立致しました

5末で前職のエフ・ケーコーポレーションを退職しました。で、会社作りました。6/1に登記申請を行い受理されてから口座開設と税務署への届出等の細かな手続きがございまして、法人としてスタートするのに1ヶ月かかりました。

quality-start.in

StaticPressで作ってS3でホストしてます。WP管理するのがめんどくさくなってしまった。お問い合わせフォームはTayoriというサービスを使っています。

以下、独立に至るまでの経緯を書きましたので、よろしければお付き合い下さい。

独立に至るまでに考えたこと

昨年の今頃から退職は頭にありましたが、次に何をしようと思った時に「これ」というのが浮かなばかった。とりあえず、人に会おう。その中で考えよう。そんな感じで色んな方とランチをご一緒させて頂きながら近況報告をしつつ何をすべきか考えました。

僕がひとりで内製していたこともあり、「業務のわかるエンジニアがいない」という話が特にひっかかりました。

ユーザー企業に対して届けるべき価値は「プログラムをより良く書くこと」ではなく「事業運営に必要なITを提供すること」です。中小企業向けのITシステムは大企業向けの機能縮小版でOK…なんてことはあり得ません。業務の独自性は中小企業のほうが強いのではないかとすら感じます。自社オリジナルの業務を支援する IT を強く求められる傾向があります。

大手は人手でパッケージの隙間を埋められます。中小企業は運用でカバーする(新たに人を雇用する)余裕がありません。ITシステムをわざわざ作ってお金をかけて効率を良くするのに運用の手間がかかるから人を増やせって何事?っていう。

ユーザー企業にエンジニアとして参画する以上、自社オリジナルの業務を支援するITを提供できないと価値が生まれない。でもスクラッチ開発は時間もかかるしリスクが高いしお金もかかる。昨今ではKintoneに代表される「オリジナルのITシステムを可能な限り自動生成を駆使して作ることが出来る仕組み」があります。この辺のサービスをどう活用すればユーザー企業に対する顧問エンジニアをビジネスに出来るのか。

自分がそれをやることで食えるのかどうか確かめてみたいと思いながらもイケるという手応えがなかったので、二の足を踏んでいました。

ルート42株式会社 さんとの出会い

「オリジナルのITシステムを可能な限り自動生成を駆使して作ることが出来る仕組み」でSIやればいいじゃんという内容でブログを書いたら、ルート42株式会社の高橋さんから「ウチはまさしくそれでSIやってます」という連絡を頂きました。え?いるのそんなひと?というのが正直な感想でした。

お話をお伺いしてデモを拝見した所、スクラッチで作ったら億クラスの複雑な業務システムが動いてる。案件をこなして自動生成の仕組みをブラッシュアップしていくうちにここまで来ました、と。

興味があるならウチの仕事をお手伝いして頂けませんかというお話を頂いたので、やりまーすと回答してスタートしたのが昨年12月。お手伝いをしているうちに「これはすごい。新しいSIビジネスが出来る。」という確信が芽生えた。協業させて頂くことで自分のテーマであるユーザー企業の顧問エンジニアに挑戦する素地ができるし、SIは好きなのでやれるだけやっていきたい。色んな仕事ができる道が開けたので独立する決心がつきました。

SIはどんどん自動化されていく

この流れが加速することはあっても、退化することはない。AWSがインフラの構築から始まりそれらを統合的に管理できるプラットフォームへ進化しました。ビジネスアプリケーションの領域も侵食されていくと睨んでいます。

企業が最大限にIT活用をするためには、自分の袖にあったITがベスト。その袖に合わせる作業が大変なわけですが、大変なままであってもいけないと思います。困難な作業ですが、PaaSサービスもこれからもっと進化していくはず。弥◯会計がAWSで動いてそれをlambdaで操作できる時代にならんかな。AWSがlambdaの更に上のレイヤーに行ってPaaSのサービス作るかもしれないし。

先日ブログで「これからは事業会社をIT会社に変革していくのがSIerのミッション」と書きました。

gothedistance.hatenadiary.jp

まずはひとりからのスタートですがこのミッションをクリアできるよう頑張ります。

今後とも、よろしくお願い致します。よろしければ、弊社のWebサイトをご高覧下さい。

quality-start.in

事業会社をIT会社に転生させることが、これからのSIerのミッション

言いたいことがストレートに伝わる良い文章だと思います。

simplearchitect.hatenablog.com

ウォーターフォールはなんのメリットもない。プロジェクトの工程間のつじつまを合わせることができないやり方でオーダーメイドのソフトウエアが正しく作れるわけがない。正しいし、それなら一切のメリットが無いという話も理解できる。

では、ここで小噺をひとつ。受託開発の要件定義フェーズであなたは要件を変えないと顧客にとって不都合が起こることがわかったとします。社内で相談した結果、えらい人がこう言いました。

確かに不都合はあるかもしれないけど、固まった要件を自分から揺り戻すなんて出来ないぞ。これ以外やりませんって合意を取らないと前に進めないだろ? その変更が違う変更を産むかもしれないし、お前それ膨らんだ時に責任取れるの?

僕の実体験を一部脚色してお伝えしています。簡単に言えば、ソフトウエアを作ることがゴールになっている以上、スコープを破綻させることはできない。納期決まってるし、とにかく終わらせないと。検収して頂かないと請求できない。 完成することが基準で対価を頂戴しているわけですから。

ここを無視して方法論の是非の議論を重ねても、意味無いでしょ。ここに切り込んで一括請負じゃなくてエンジニアと二人三脚でアジャイルだよねって実際にやっているのって、倉貫さんぐらいじゃないでしょうか。他に続いた人を知りません。それほどに難しい問いだという理解をしています。

一括請負でギチギチにやるのはお互い不幸なのはよくわかる。それをやる体力もなければ、積んだ工数の金額を出しても通用しない。なので、SIerがそのやり方をみんな辞めたと仮定しよう。請負しないんだから、委任になります。顧客のIT部門に入り込んでその立場で仕事をするのが、主流となる。仮想的な内製部隊として機能していく。こうなりますわな。

嫌なこと言いますけど、上流と下流が分断しているのがSI業界の最もあかん所でかつそれが主流なので、一括請負辞めたら外注管理しか出来ない会社と下請け仕事しか出来ない会社が出来上がって誰得だよねってことになりませんかね? そんな心配は杞憂ですかね。僕はかなり心配なんですが。

「ウチは一切の請負はしなくて、業務委託でイケてるエンジニアを貸し出します。御社の事業にコミットして、モノも作れますから。毎月XX円お支払ください。」と言われて「なるほど、確かにそれがベストだね!アジャイルにやろう!」 ってなるのかなぁ。 顧客はそれについてこれるのか。 全ての舵取りを顧客に委ねるのが正しいのか。どう説明してご理解を頂くのかイメージが湧かないけど、それしか無いならしょうがないのかな。

これからは事業会社もIT会社になる時代であって欲しい。そうなれと思う。ITを武器にして競争優位を勝ち取って頂けるなら本当に喜ばしい。でも、その為の受け皿にヒビが入りまくっているのではないか。事業会社をIT会社へ変革する為に、SIerとしてできることはなんなのか。それをやるのがSIerじゃないなら、誰になるのか。担い手が変わるのであれば、どう寄り添っていけば良いのか。

こういう議論の先にあるのが、SIの未来ではないのでしょうか。

「事業会社をIT会社に転生させるのが、これからのSIerのミッションだ」という前提に立った議論をしたいので、今後はその目線で記事を書いていきたいと思っております。

【書評】ワークスタイル・パラダイムシフト~「シェアード社員」という選択~

ユナイトアンドグロウ株式会社、取締役高井様よりご恵投頂きました。

ワークスタイル・パラダイムシフト  ~会社にぶら下がらない生き方を叶える「レンタル社員」という選択~

ワークスタイル・パラダイムシフト ~会社にぶら下がらない生き方を叶える「レンタル社員」という選択~

弊ブログをご覧頂きご連絡を頂戴して、中小企業のIT活用について意見交換を行いました。非常にユニークな仕組みで中小企業のIT活用を支援されている会社さんです。

www.ug-inc.net

シェアード社員 is 何

「シェアード社員」という働き方を提案しており、それはなんぞやというのが本書の主題です。

正社員として雇用して顧客の現場で仕事をする。複数の現場を担当することもある。でも、派遣社員ではない。仕事の裁量は自分で決定できるから。でも、コンサルタントではない。実際に手を動かして顧客企業の事業運営にコミットするから。

これだけ聞くと無限に働くんですか?という感じですが、過度な労働にならないよう時間単位で契約できるようになっており、社員の労働環境を契約で守る仕組みがあるようです。良い仕組みだと思います。外部の人間が会社の経営の立場になって、現場に入り込んで改善してくれたら最高です。それをやるにはコンサルや派遣社員という形態では上手く行かない。そういう背景があってのシェアード社員であると書かれております。

中小企業のIT活用の課題はやはり人材不足

ITエンジニアとして高い能力を持っている人が、ユーザー企業に飛び込むケースはまだまだ少ない。居場所を作る努力もしなくてはならないので。ユーザー企業は自社の事業運営に貢献してくれるITのあり方を共に考えてくれる人材を渇望している。そこを埋める人材は、どうやったら育つのか。手に入れることができるのか。

僕の答えは簡単で、手段はなんでもいいから自前でITシステムを用意して仕事をする、です。それが一番。自前で用意と言っているのは、自分達で修正ができなければならないということ。ベンダーに投げたら何にも身につきません。自分でデザインしてそれを使って仕事をするから、事業運営に貢献できるITシステムに必要なことがわかります。学ばなあかんのはココ。

クラッチで作るのは難しいですけど、色んなITサービスがある昨今です。ビジネスアプリケーションの領域も幅広い選択肢が出てきました。小さな所から始めて欲しいと思います。

中小企業のIT活用を支援したくても、それを仕事にするのはかなり難しいです。開発だけやればいいってことは絶対ない。制約も多い。雇いたくても明確な職務記述を書くのは難しい。複合的な能力が求められるので、難しい仕事だと僕は思っています。

どんな形であれ経営に資するIT部門であることが重要なので、ユナイトアンドグロウ様には期待しております。ITProで無能とDISられることが多いIT部門を、皆様のお力で有能にしてください。事業運営やオペレーションによってついた差って、大きいんですよ。目に見えないノウハウはそう簡単には盗めませんから。

ワークスタイル・パラダイムシフト  ~会社にぶら下がらない生き方を叶える「レンタル社員」という選択~

ワークスタイル・パラダイムシフト ~会社にぶら下がらない生き方を叶える「レンタル社員」という選択~

2017.09.04 修正

ユナイト・アンド・グロウ様よりご連絡があり、2017年9月からレンタル社員という呼称がシェアード社員に変更になりました。
その為、レンタル社員→シェアード社員に文言を修正致しました。

4年に1度だけ訪れる結婚記念日

あれから4年か。人生は短い。

gothedistance.hatenadiary.jp

盟友のタケルンバ卿も、本当に何の口裏合わせもしてないのに同じ日に結婚して、同じく4年に1度の結婚記念日を迎えた。おめでとうございます!

lord.takerunba.com

奥さんに出会えたことを、改めて嬉しく感じられる日が、結婚記念日。毎年そういられるよう、努力します。大好きなので。

僕は妻のための仕事って思ったことはないけど、家族を不安にさせるような仕事ではあかんし、僕がつまんなそーに仕事してたらアレなので、いつだってリスク背負って立ってGot to go my wayで頑張ります。

まなめも結婚したそうだし、はてなクールボーイズで同窓会やろうね。

クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある?

元ネタはこちらのTweet

公式資料かどうかを確認すべく、クラウドワークスさんの決算説明資料のWebページをチェック、当該Tweetで掲載されている画像の資料は、
2016年9月期 第1四半期決算説明資料(PDF)に掲載されているもので、公式の見解ということになります。

働き方はやっぱり正社員がNo.1

正社員という雇用形態が崩壊に向かい非正規雇用者が増えている中で、正社員でないと社会的信用や経済基盤等が損なわれてしまう。雇用にも限界があるわけだから、「個人」に対して仕事を供給して実績と信用を構築・適用できるプラットフォームがあれば、新しい雇用形態が生まれて個人も企業もWin-Winになる。ザックリとしていますが、クラウドワークスさんが目指している姿はそういう社会像だと認識しています。

で、その未来像を目指し着実にユーザーとクライアント企業を増やした帰結を端的に示しているのが、このページです。

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数年の運営を経て得られた帰結は、「登録ユーザー80万人に対し、月収20万に到達する方は110人程度」でした。110名の90%はITエンジニア/Web制作 or デザイナーで占められており、クラウドソーシング関係なくある程度の収入は確保できる方々です。発注者が個人にマウントを取り、お小遣い稼ぎでも良いと割りきっている方を都合よく使っているイメージが拭えません。お小遣い稼ぎならば、クラウドワークスで仕事を請けるよりもメルカリのほうが効率が良くリスクもないので、そちらのほうが...と思ってしまう。

働き方として確立するためには安定性が最も重要な要素ですが、クラウドワークスさんのIR資料から際立って見えてくるのは、「企業組織と個人の関係は、やっぱり正社員がNo.1」という皮肉な示唆のように見受けられます。

今後の成長にも疑問符

さっきリンクを張ったPDFに書かれているPLの報告です。

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1Qで10億の売上に対し、営業利益は△1.17億で赤字。通年は単純に4倍の40億の売上に対し営業費用の増加を見込み、営業赤字は△8.5億に膨らむ見通しです。

収入源は成果報酬型(契約額の何%かを貰う)モデルなので、これを拡大するために「ユーザーを増やす」か「単価を上げる」の2つの策が取れます。でも、月収20万超えが110人ですから契約単価の向上を見込むのは難しそうです。これを数万人に出来るんでしょうか。「個人」では限界があるように感じます。月収の高い人が増えてくればクラウドワークスで自分が取ったクラウドワークスの仕事を回すというロックな事案が増えそう。あれ? 元請けが下請けにマージン抜いて丸投げするアレじゃないですか? まじかよ〜。

ユーザー数を伸ばしましょうといっても、ユーザーが増えればサポートに関する諸業務が増えてしまう為に営業費用が嵩みます。オートメーションは無理がある。単純な物品の売買じゃないから。現在80万人のユーザーがいるそうですが、仮に200万ユーザーになったとしても成約額が小さいなら赤字体質の脱却は難しい。個人で請けられる仕事は、たかが知れていますから。売上40億で8.5億の赤字って結構辛い数字です。

ただ、「クラウドソーシングで武者修行をすることで、形を変えたOJTとして機能させることにより、人材紹介・教育研修の受け皿としてトータルなキャリアサポートを実現する」企業となり、そこで輩出した人材の能力が高く評価されるようなサイクルが出来上がってくるのであれば、働き方革命の幕開けかもしれません。新卒一括採用というスキームを形骸化させ、誰にでもセカンドチャンスを与える、と。

本資料からは「滅茶苦茶ユーザーを増やせばいつかはペイするンゴ」以上の戦略を読み取ることが出来ませんでした。まだ始まったばかりですから、5年後には僕が赤っ恥をかいているかもしれません。今後の成長を注視したいです。

【書評】システムインテグレーション再生の戦略

技術評論社、傅さんよりご恵投頂きました。システムインテグレーション崩壊 ~これからSIerはどう生き残ればいいか?の続編という位置づけです。

システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?

システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?

本書は全体的に横文字が多く拡散的になっていますが、方向性を指し示すのが目的ですのでこんなもんかなと思います。「これしかありません」という話はできないですから、色んなヒントを得られるように構成されています。

工数積算やめてどうするの?

ポストSIビジネスというものに問われているのは、「工数積算を辞めて何をしたらええねん?」が主たるものです。ポストSIビジネスモデルとして合計12個のモデルが提示されていますが、切り口が違うだけで提示されているメタ視点は実は同じではないか、と。それが下記です。

「工数積算をやめる為には、納品までのスピードを”圧倒的に”速くするしかない。速くするにはスクラッチ開発を減らしてメニュー化する(or 自動生成する)しかない」

工数積算で3000万じゃペイしないとしたら、まず3000万を下げる必要がある。仮に1500万としましょう。半額にしてもエンジニアの人件は同じように発生する。でも工数は圧縮しなければならない。スピードを上げて単価を下げるためには、クラウドなのかPaaSなのかわかりませんがスクラッチ開発を可能な限り極小化してメニュー化するしか無く、「どこでメニュー化するのか」が切り口として違うだけ、という見方をしました。

お金をもらうスキームは、月額定額 / 買い切り/ 成果報酬などがありますが、どの選択肢を選んでも額は下がる。期間を短縮すると「そんなに速く出来るのに、この値段って高くない?」が絶対に前に来ます。技術的価値を正しく理解しろって言っても無駄。殆どの人は真価に興味はなく、ボリュームで判断するしかありません。速くすれば単価は絶対に下がりますから、数を叩くしか無いです。

アジャイルで請負開発ねぇ...

いい加減にしてくれませんかね、これ。前作の崩壊編でも未来図のひとつとしてこの話が乗ってたんですけど、地雷の可能性がとても高い。

本書では「納期と工数と金額をあらかじめ確定させ、その範囲でビジネス目的達成における重要度から開発対象となるビジネスプロセスの優先度を決定し、順次開発する。その期間で優先度が変わっても、着手されていないプロセスの開発順序が変更できるので、変更への柔軟性を担保できる。」のがアジャイル型請負開発の概要として書かれています。100pです。

・・・これ、まんまウォーターフォールじゃん? どこがアジャイルなの? 営業の手の平かな?

優先度が変わっても別の機能を作ればいいって、クリティカルパスが死んでるのに枝葉埋めてデスマになる絵しか浮かばない。寒気がする。

納期・工数・金額が決まってるなら「コレ以外やりません」or「多少のブレを見越して、リスクバッファーを積んでカネを取る」しか身を守る術はないの。ビジネス価値を正しく見極めるためのアジャイル。わかる。でも、その価値はコードを書いてから「これじゃない」とブレていくのが肝。決めた内容を作ることに成果責任を問われる以上、それを守るのが最優先になるって。ウチはアジャイル開発が得意なので開発の順序は優先度や内容については変更が効くようになってます、アジャイル開発だからご安心ください的な営業トークは、もう完全にホラー映画の世界。

このモデルを推すのであれば実際にこのモデルで成果を出している会社の事例をビシっと書いて欲しいです。請負が求められないとは言いませんが、本書のはじめに一括請負は構造的欠陥を生み出す的な文脈で書いてあるのに、なんでアジャイルで請負はOKになるのか僕にはわからなかった。ユーザーが本当に必要なものを作ることがどれだけ難しいか、考えてほしいものです。

システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?

システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?

本書に書かれているように新しい動きは確実に始まっています。ざっと現状を整理し、長期的な流れがどうなっていくのかを考える為に本書を当たるのは、もちろんアリです。


アジャイル請負だけは賛同できないけど。